米ロ中「軍拡競争」再び…INF全廃条約失効で、世界は冷戦へ回帰する

日本が食い止めなければならない
半田 滋 プロフィール

「恐怖の連鎖」がやってくる

将来、射程を延ばした「島しょ防衛用高速滑空弾」が完成すれば、その配備先は固定されたミサイル基地が最適となる。候補地として浮上するのは、「イージス・アショア」の配備計画が進む秋田市の荒屋演習場と山口県萩市のむつみ演習場の2ヵ所になるのではないだろうか。

「イージス・アショア」は現行計画では弾道ミサイル迎撃に特化しているが、将来的には巡航ミサイルに対する迎撃機能を持たせることも検討されている。「島しょ防衛用高速滑空弾」を改修した「弾道ミサイル」も配備するとなれば、「イージス・アショア」はいよいよ攻撃・防御両面を備えた総合的なミサイル基地となる。

INF条約の失効により、世界の安全保障環境は冷戦時代に逆戻りを始めた。

 

当時と比べ、軍事技術がより進展している現在、ロシアや中国のさまざまな中距離ミサイルが日本を射程圏に収めるようになれば、日米はこれに対抗して軍備強化を急ぐことになるだろう。恐怖の連鎖の始まりである。

だが、それでいいはずがない。日本は、唯一の戦争被爆国である。米国、ロシア、中国に対し、いたずらに緊張を高めることのないよう働きかける必要がある。

2021年に期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)が延長されなければ、米ロが核軍縮を話し合うチャンネルは消滅し、冷戦が完全に再現される。

日本は軍拡競争の輪に加わることなく、新たな軍備管理の旗振り役を務めなければならない。