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僕がフジロックに絶望した理由…「夏フェス」を劣化させたのは誰か

在りし日の魅力が消えてしまった

「もう、特別な場所ではない」

フジロックフェスティバル(2019年は7月26日〜28日に開催)が終わった。

海外からはケミカルブラザースやSIAといった大物の来日、国内組ではエルレガーデンの11年ぶりの出演など、豪華なアーティストの参戦も話題を呼んだ。ソールドアウトする日が出るなど、今年も成功のうちに幕を閉じた、と言っていいと思う。

「FUJI ROCK FESTIVAL」公式HPより

「フジロックフェスティバルは他のフェスとは違う」――フジロックに毎年通う人たちは、そう言ってフジを特別視してきた。

毎年まだアーティストのラインナップが決まる前からチケットをとり、タイムテーブルが出る前から予定を立て、宿を押さえ、どうやって7月最後の金曜日を休もうかと画策する人種が確かに存在する。開幕したフジロックのゲートの前で、「明けましておめでとうございます」と挨拶し合う彼ら、“フジロッカーズ”と呼ばれる人々は、「再びフジロックに集まること」を目的とし、金を貯め、道具を揃え、会社に頭を下げ、きつい日程をこなし、苗場に集まってくるのだ。

フジロックの魅力は何か、という問いについては様々な答があると思う。例えば、周囲を山に囲まれた苗場という環境のなかで、緑に響く音を聞きながら、美しい自然を楽しめるのも魅力の一つだろう。去年は台風でキャンプサイトが壊滅的な打撃を受け、今年は記録的な豪雨で土曜深夜のアクトが中止に追いこまれるなど、時には過酷な自然現象にさらされる。だが、それを補ってあまりある喜びが、フジロックにはあった。

そう、「あった」のだ。確かに。

これを書いている僕も、2002年からほぼ毎年、フジロックに来ている。フジロックが苗場に定着するまでの苦しい時代のことは知らないが、最近のファンからは「古参」と呼ばれるようにはなってきたと思う。

気がつけば人生における夏の3分の1以上を、フジロックとともに過ごしてきた。7月末のすべての予定を、「フジロックがあるから」という理由で断り、時には仕事終わりを待って車で深夜三国峠を越え、時には豪雨の中でテントを張り、フライシートが飛ばされてびしょ濡れになって目を覚ましたこともあった。人生最高のライブ体験は今でも2009年7月24日の、大雨の中で行われたグリーンステージのオアシスだと信じている。そういう人種だ。

 

だが、今年のフジロックから帰宅した後、いつものようにコインランドリーで汚れ物を洗いながら、僕はツイッターにこうつぶやいた。

「フジロックはもう、特別な場所ではない」