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「成長の限界」に苦しむ中国・習近平…新制裁関税のダメージの大きさ

世界経済への打撃も大きい

8月初旬、米国のトランプ大統領は、中国に対して第4弾の制裁関税を発動すると表明した。

発表通り9月1日に、この制裁関税が発動されると、中国をはじめとする世界経済にはかなりのマイナスの影響が及ぶだろう。第4弾の制裁には、携帯電話(スマートフォン)やノートパソコンなど世界中の人々の生活にかかわる消費財が含まれる。そのため、これまでの制裁関税以上に、一般庶民への影響が出ることは避けられない。

今後の米中の貿易交渉の展開がどうなるか、その展開は読みにくい。

米中貿易摩擦は、世界経済にとって最大のリスク要因であることは間違いない。追加の制裁関税は、世界の工場としての役割を発揮してきた中国の地位を低下させるだろう。中国は国内の景気減速も加わり、かなり厳しい状況に直面する可能性が高い。今後の交渉次第で、中短期的な世界経済の状況が大きく変わる可能性がある。

 

米中貿易摩擦の正体

米中摩擦には、米国の対中貿易赤字の削減と、米中の覇権国争いという二つの側面がある。

トランプ大統領は2020年の大統領選挙での再選を目指し、中国からの輸入を減らして米国の農産物などの輸出を増やし支持率を上げたい。また、米国は中国のIT先端技術開発が安全保障を脅かすと警戒し、補助金政策や技術の強制移転を批判している。米国は制裁関税をかけつつ、短期間で中国からの明確な譲歩を引き出したい。

一方、中国は大統領選挙戦の動向をにらみつつ、小出しに譲歩案を提示して時間をかけて米国と交渉することを考えているだろう。

そうした状況下、米中は互いに妥協できる部分では合意案をまとめ、補助金政策など中国の体制の根幹に関わる部分は結論を先送りしてきた。

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大阪で開催された米中首脳会談において、米国はファーウェイへの制裁緩和や制裁関税の先送りを示した一方、中国は大豆購入の拡大などを示した。

内容は、かなり中国に有利に見える。中国ではアフリカ豚コレラの拡大から豚の肥育拡大が急務だ。大豆購入の拡大は実利にかなう。更に、ファーウェイへの制裁緩和は経済安定に欠かせない。

トランプ大統領は目先の成果を重視しすぎた。米国内では、ファーウェイへの制裁緩和には批判が増えている。これまでの交渉を見る限り、中国の作戦勝ちだ。7月末の閣僚級協議でも中国は議論が6月の首脳会談からはみ出ないように努め、自国に有利な状況を目指した。トランプ氏はこれにしびれを切らし、第4弾の制裁関税を表明した。

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