まず若者が退職代行を利用する理由は大きく2つあり、分けて考えなくてはならない。
理由の1つはメディアでもよく語られている通り、自力では辞められない状況に追い込まれていることがある。
厚生労働省によれば、退職時のトラブルに関する相談件数はここ10年で2倍に増えたという。
もちろん企業はせっかく採用した人材を簡単には手放したくない。今辞めるなんてもったいない、もう少し頑張ってみてほしいという上司の“親心”も理解できる。
しかし、ひどい場合には「無責任だ」「常識がない」などと、まるで退職そのものが悪であるかのように退職者が責めたてられることもある。さしずめ「慰留ハラスメント」だ。
こうして辞めたくても辞められない状況に陥ると、やがて精神的に疲弊してまともな話し合いもできなくなる。こうなると退職代行に頼らざるをえなくなるのも、頷ける話だ。
もう1つは、先ほどの深刻なケースとは異なり、単にコスパがいいからだ。
辞めるに辞められないのも大きな問題だが、私はこちらに本質的な課題が潜んでいると見る。