漫画家で小説家の折原みとさんは、20年ごしの夢を叶えてリキという愛犬と暮らしていた。犬は人間の数倍のスピードで生きる。どうしても、別れは人間より早くやってくることが多い。エッセイ『おひとりさま、犬をかう。』には、出会う前の話から別れのとき、そしてそのあとのことも率直に綴られた一冊だ。

前々回は愛犬と「幸せなさよなら」を迎えた10日間のこと、そして前回は愛犬をみとったあと、なかなか死の現実を受け入れられなかった時のことを抜粋掲載した。最終回の今回は、さらなる一歩を踏み出したときのことをお伝えする。

今までの連載はこちら

もう新しい子は飼えない?

飼っていた動物が死んだ後、「もう新しい子は飼わない」と言う方は少なくない。

「死ぬ時に辛い思いをするのが嫌だから」
「新しい子を飼ったら、前の子が可愛そうだから」

そういう気持ちもわからなくはないけれど、私はやっぱり、犬のいない生活は考えられなかった。
とはいえ、さすがにすぐに次の子を飼う気にはなれない。
少なくとも半年くらいは喪に服してから、ゆっくり新しい相棒を探そうと思っていた。
が……。
思いのほか早く、二度目の運命の出会いはやって来たのだった。

「リキちゃんの血縁にあたる子犬が…」

「リキちゃんの血縁にあたるゴールデンの子犬が生まれたんですが、折原さん、いかがですか?」

リキが長年お世話になっていた訓練士の進藤さんからそんな電話をいただいたのは、リキが亡くなって5ヶ月ほど経った、5月の初めのことだった。

岐阜のブリーダーさんの所で生まれたゴールデンレトリーバーは、リキが生まれた福島のブリーダーさんの血統が入っているので、ずっと溯るとリキと血が繫がっているというのだ。

まだリキが亡くなって半年もたっていない。
新しい子を迎えるのは、もう少し先のことだと思っていた。

でも……、でもっ、
リキと血が繫がってるですと!?

それは、ものすごく心惹かれるものがあるっ!!
だけど、まだリキの思い出は薄れていないし、次のステップに進む覚悟ができていない。しかし、そんな私に、進藤さんはたたみかけるようにこう言うのだ。

「最近はゴールデンを飼う人が少ないので、あまり繁殖していないんですよ。この機会を逃したら、今度はいつになるかわかりません」

ええ~~~~っ? そうなの!?

進藤さんから折原さんに送られてきたゴールデンの赤ちゃんの写真。可愛い! 写真提供/折原みと

一応は迷った。……3日くらいは。

今、こんな話が舞いこむってことは、きっとその子と縁があるに違いない。
思いきって、決めちゃえ~~~~~!!

てなワケで、
2011年、5月半ば。
我が家に2代目のゴールデンレトリーバーがやって来ることになった。

名前は「こりき」。
言うまでもなく、リキの2代目だから「子リキ」だ。