目の前にいる大事な人を諦めないで

―― お話を聞いていると、セックスに関する問題はいずれも、「大事な人と、どうコミュニケーションを取るのか」ということに尽きますね。 一徹さんが心がけていることはありますか?

一徹:ほんとうにそうですね。まずは傷つくこと、失敗することを前提でやってみることも大切なのかな、と思います。よくある「恋愛指南書」とか、「彼の心をつなぎとめるテクニック」みたいな情報をいくら詰め込んでも、それって一般的な知識だったり、目の前の彼ひとりにチューニングできていない方法論だったりすることもある。だって、セックスってとことん個人的なことですから。

「痛い」と思ったら正直に伝えたほうがいいし、どうしても言いづらかったら腰を引く動作をするとか、ボディランゲージで伝えてもいい。2人の間で合図を決めておいてもいいんです。「今日はセックスしたくない」と思えば、「あなたのことが嫌いなわけじゃない」ということは踏まえながらも、きちんと伝えてください。ただ、断ったら次の時は女性の方から誘ってもらえると、男性は嬉しいと思います。もちろん、逆もそう。

みんな、傷つきたくないですよね。周りを見てても、みんな臆病だなって思います。僕だって、そう。でもそうすると、究極的には誰とも関係を持たないで、たったひとりで静かに死んでいった方がいいということになってしまう。だけどそこで、ささやかな勇気を持って、「迷惑をかけちゃったら、本当にごめんなさい」という精神で、目の前のひとり、目の前の大事な人と関わっていくことを諦めないようにアクションして、互いに心地良い着地点を探っていくことが大事なんだと思います。

〔PHOTO〕Yuki Uchida
一徹(いってつ)
1979年生まれ。大学卒業後、公認会計士試験の勉強中に見つけたエキストラ男優募集をきっかけにAV業界へ。2009年雑誌『an an』(マガジンハウス)のSEX特集号付録のDVD(SILK LABO監修)に出演。それをきっかけに女性の間でブレークし、大人気AV俳優へ。2018年、自身が監督するAVレーベル「RINGTREE」を立ち上げる。著書に『恋に効くSEXセラピー』(KADOKAWA)、『セックスのほんとう』(ハフポストブックス)。