プレーオフが苦しくなってきたエンゼルスの動向
メジャーリーグも各チーム50試合前後を残して、終盤に入ろうとしています。
大谷翔平選手の所属するエンゼルスは勝率5割前後という成績で、首位を走るヒューストン(・アストロズ)とは15ゲーム近く離れ、ワイルドカード争いでも5ゲーム以上をひっくり返さないといけない状況です。
まったくのノーチャンスというわけではありませんが、かなり厳しいポジションでしょう。ビジターはともかく、ホームのエンゼルスタジアムで思うように貯金が作れていないのが響いています。
このままの順位でゲームが消化されていくと、起こってくるのが来季に向けてのアクションです。
昨季のこの時期、エンゼルスはやはりヒューストンに15ゲームほど離されており、マーティン・マルドナド捕手をヒューストンへ。イアン・キンズラー内野手はボストンへ。レギュラークラスの選手をそれぞれプレーオフ進出が濃厚のチームに売りました。
メジャーではこういう際に「アナハイム(エンゼルス)はいよいよセルに切り替えたぞ」などと表現します。
「セル」とは「Sell=売る」で、文字どおり戦力を売って放出し資金を蓄える。あるいは、来季以降を意識して若手を獲得するトレードで戦力を整えるという感じですね。
逆に、プレーオフを有利に戦えるように駆け込みで補強するチームを「バイ」(Buy=買う)と呼びます。今季は、たとえば、地区優勝が見えているヒューストンが、アリゾナ(・ダイヤモンドバックス)から、リーグを代表する右腕ザック・グリンキーを獲得しましたが、このように「セル」のチームから即戦力を買います。この季節の一種の風物詩的なものですね。
ただ、エンゼルスの選手の今季の個人成績を一覧すると、突出した数字を残している選手はマイク・トラウト選手くらいしかいません。彼は今春、史上最大の12年総額約500億円というとんでもない契約を締結したばかりですし、チームの看板なのでもちろん放出はしませんでした。
そういう意味では大きな動きはなく、ポジティブに考えれば、来季に向けた構想を練りながら後半戦を戦うことができるでしょう。