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トヨタでさえ…!? 自動車各社の注目決算、業界に立ち込める「暗雲」

予想以上に厳しい状況が明らかに

トヨタが直面する「円高リスク」

日本の自動車産業に暗雲が立ち込め始めた。

近年、日本の自動車会社はリーマンショックの「後遺症」から立ち直り、米国や中国で日本車を多く売ってきたが、米中経済戦争という地政学的リスクや、自動車産業とビッグデータの融合など技術革新のリスクに直面したことにより、主要市場で収益を落とし、一方で次世代技術の投資負担に苦しむ状況だ。

8月1日にマツダの、同2日にトヨタ自動車やホンダの2019年4~6月期(第一・四半期)決算が発表された。その内容からも、2つのリスクに脅かされる日本の基幹産業の現状が明らかになりつつある。

 

まず、日本経済の「4番バッター」とも言われる業界のリーダー、トヨタ自動車の19年4~6月期決算は、売上高が前年同期比3・8%増の7兆6460億円、本業のもうけを示す営業利益は8・7%増の7419億円となった。

同時期の決算で日産自動車が98・5%、三菱自動車が86・3%の大幅減益となる中で、日本や欧州、東南アジア、中国で堅調に販売を伸ばして増益とした。

いわば「トヨタの底力」を見せつけたわけだが、年間を通しての2020年3月期決算の業績見通しは、今年5月の期首見通しから売上高で5000億円、営業利益で1500億円もの下方修正を行った。

その主要因は円高だ。為替の前提条件を第一・四半期の1ドル=110円から、7月以降は1ドル=105円に修正した。トヨタの場合、米ドルに対する1円の円高で約400億円の営業利益が吹き飛ぶことになる。

2日の決算発表に臨むトヨタ執行役員の今健太氏(Photo by gettyimages)

日本経済のリーダーとしてこれまで国内雇用を重視してきたトヨタは、「国内生産300万台」の数字にこだわり、輸出比率がホンダなどに比べて高かった。円で調達した部品で造ったクルマを米国に輸出して稼いできたので、「ドル円エクスポージャー」が大きく、為替変動のリスクを受けやすいのだ。

ここにきて、米国が金利を引き下げたことと、トランプ大統領が中国への関税制裁の第4弾を発動させることを決めたことで、円が買われ、ドルが売られて円高に振れた。トヨタはこうした事態を想定し、一気に円高が進むと見て下方修正に走った。