終身雇用「大崩壊時代」に生き残るリーダーは、意外とこんな人だった

愛ある経営者であれ
北野 唯我 プロフィール

中西会長は5月の経団連の定例会見でこんなことも言っています。

「もうダメになりそうな事業を、雇用を維持するために残すということをすると、それは雇用をされている方にとって一番不幸なんです。だから経営者は早く諦めて、新しいビジネスに転換していくことに時間を注ぐべきであると信じてやってきましたし、今でもそう思っています」

「無責任だ」という批判を浴びせたくなるかもしれません。しかしよく考えてください。企業の都合によって、社外で通用しない人材にされた後に「もう雇用できません」と突然言われるほうががよっぽど無責任だと感じませんか。

愛ある経営者は、痛みを伴うかもしれないけれど、企業と従業員がともに幸せになれる方法を模索し続けています。そして、それが企業評価の透明化が進んでいく世の中において、企業に貴重な人材が集まる大きなアドバンテージになることは確かです。

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口コミに如実にあらわれる「企業風土」

企業の評価において、特に影響力を持っているのが、オープンワーク株式会社が運営している企業口コミサイトの存在です。シンプルに言ってしまうと、食べログの企業版ですね。

実際に働いている(あるいは働いたことのある)従業員が、待遇の満足度、風通しの良さ、人事評価の適正感など、複数項目に点数をつけることで、その企業の総合点数がはじきだされます。すでに食べログ同様、点数の低い企業は見向きもされなくなっており、その流れは今後ますます加速していくでしょう。

では、何が企業の点数を左右するのでしょうか。今回、書籍の執筆にあたってオープンワークの口コミを分析してみると、企業の働きやすさに関する点数は3〜4年で大きく変わることが分かりました。そのきっかけの典型的な例は、社長をはじめとする経営陣の交代です。

興味深いことに、社長の交代によって働きやすさが改善した企業は、「◯◯社長になってから働きやすくなった」というように、経営者が実名で記される傾向があります反対に社内環境が悪い企業ほど「経営陣は何も考えていない」、「担当部長は成果のためなら手段を選ばない」というように、匿名で触れられることが多いという結果が得られました

つまり、経営陣の姿勢は、そのまま企業口コミの点数に跳ね返っていることを意味しています。転職が当たり前となり、企業口コミも浸透した時代では、経営陣の良し悪しまで仕事選びの基準に組み込まれます。だからこそ、トップが組織に対して持つ愛情が重要となってくるのです。

 

ちなみに世界的な投資銀行も、企業口コミを株価予想の判断材料のひとつとして利用しています。不祥事が明るみに出た企業や、業績がガクンと下がった企業の過去の口コミを分析してみると、その数年前から「内向きの組織」、「成果達成には手法を問わない」といったネガティブコメントが多くなることがわかっています。

一方で、このような信頼性あるシステムによって企業評価が透明化され、仕事選びのハードルが一気に下がると、企業が人材獲得にますます苦労する時代が訪れるでしょう。