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浮気相手を探すために「さえずり」を変える、オス鳥がいた

あの鳴き声の美しさはもしや…

メスから好かれるワザ

ホーホケキョ―お馴染みのウグイスのさえずりだが、実はこう鳴くのはオスのみ。メスは、ホーホケキョとは鳴かないのだ。

そもそも鳥の鳴き方は2種類ある。

ひとつ目は「地鳴き」だ。オスだけでなくメスも鳴き、群れで集まるときや、ほかの鳥を威嚇するときなどに使われる。ちなみに、ウグイスの地鳴きの声は「チャッチャ」である。小さく低く鳴くので、人間はほとんど気づかない。

もうひとつが「さえずり」だ。

 

地鳴きとくらべて、高く美しい鳴き声なので、「鳥の歌」とも呼ばれる。繁殖期のオスが、メスに自分の存在を知らせたいときに使う。ウグイスは「ホーホケキョ」。春になるとこの歌声をよく耳にするのは、ウグイスの繁殖期だからだ。

「鳥の歌」には、鳴いているオス自身の情報も入っている。早いテンポで長時間歌い続ける場合は、自分が「独身」であること、歌い方がゆっくりだったり、短かったりするときは「既婚者」だと告げている。既婚者は「僕は独身じゃないけど良ければお付き合いしない?」と誘っているらしい。なかには、本当は既婚者なのに、独身ぶって長く歌い続ける「ふとどき者」もいる。

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また、オスはそれぞれ3~10曲の持ち歌をもっている。曲のレパートリーは多ければ多いほど、メスから好かれやすい。持ち歌の多いオスについてまわり、したたかにおこぼれのメスを狙うオスもいるほどだ。

さらに驚くべきことに、鳥の世界にも「流行の歌」が存在する。

軽井沢に棲むクロツグミは「フユキ、フユキ」という独特の鳴き方で「鳥の歌」を歌うが、その声を録音し、金沢のクロツグミ1羽に5分間聞かせた。すると、2年後には金沢のオスのクロツグミ全羽が「フユキ」と歌うようになった。軽井沢の鳴き方が、金沢でも「流行」したのである。

私たちが何気なく毎朝聞いているあの鳴き声も、もしかしたら鳥たちの間で今、ヒットしている歌なのかもしれない。(細)

『週刊現代』2019年8月10・17日合併号