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「自分のお金になぜ手数料がかかる?」無料送金にこだわるプリンの挑戦

現金のストレスをなくして社会を変える
マネー現代編集部 プロフィール

徹底的にユーザー目線をつらぬく

各種手数料が無料というのは、消費者にとってはありがたい。ただ、もともとシンクタンクで、大和ネクスト銀行の立ち上げにも関わっていた荻原さん。正直なところ、金融業は手数料ビジネスの印象があるのだが、どうしてそうしたユーザー目線のサービスがつらぬけたのだろうか。

「価値を提供して手数料を頂戴するのは真っ当だと思うんです。もともと銀行の手数料というのは、手数というだけあって、昔はA社からB社にお金を移すのにそれなりの手間がかかりました。その対価として100円を頂戴します、というのは納得感があるんです。でも、その作業がデジタルになった今、手数も人件費もかかっていない。10円、20円くらいならまだしも、相変わらず100円、200円取ろうとする仕組みが嫌だったんです」

なるほど、実際に銀行に携わっていたからこその問題意識だったのだ。

 

ちなみに、世の中には他にも送金サービスや決済サービスがたくさんある。それにもかかわらず、プリンと違って他社サービスの多くは、なぜ出金できないものが多いのだろうか。

「ユーザーにとってお金が自由に動く世界を築きたい。僕らのサービスは、これが最終的な目標です。一方で他社のサービスの多くは、どちらかといえば自分たちのサービスにできるだけ人を呼び込んで囲い込みたいというのが最大の目的ではないでしょうか。自分たちで築いた経済圏の中でいかにお金を使ってもらうか。それが命題です。その思想の違いが、そもそも出金できない、出金するときに手数料がかかる、といったサービスの差になっているのでしょう」

あとは、扱うものが「円」か「円相当」かによって大きな違いがあるという。プリンは、現金化できる「円」にこだわったため、それなりにお金と時間がかかる「資金移動業者」の道をあえて選んだ。

「資金移動業って金融庁の免許なんです。それなりにお金がかかるし、時間も審査で半年か1年ほどかかる。免許が取れたとしても、ユーザーの本人確認をいちいちしなきゃいけないから手間がかかる。一定のハードルがあるんです」

それが嫌で、送金サービスや決済サービスを手掛ける会社は、「前払式支払手段」という選択をすることが多い。同手段なら、ユーザーの本人確認なしにすぐにサービスを使えるのがメリットだ。ただ、現金化はできない。送金やプリペイドカードで支払いはできても、ATMでの出金はできないのだ。

資金移動業者になると、日本円が取り扱えます。銀行からお金を振り込んで送金したり、決済できるのはもちろん、また現金に戻すこともできる。これが最大のメリットです。だから会社を立ち上げるとき、多少ハードルは高いけれど、資金移動業1本でやることにこだわりました」