Image by iStock
# iDeCo

「iDeCo」の手数料で荒稼ぎを目論む、ある組織の「ヤバイ事情」

「老後は安心」の真っ赤なウソ

熱心に普及する団体はどこか

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入規制緩和に関するニュースが、一部メディアで取り沙汰されている。

現在、企業型DC(確定拠出年金)に加入している会社員716万人の多くは、制度の事情でiDeCoに加入したくても加入できずにいる。政府は2020年度の税制改正要望に制度改正を盛り込み、会社員が誰でもiDeCoに加入できるようにするという。

 

金融庁の「老後2000万円不足」レポート以降、資産形成の制度について、なにかと取り上げられる機会が増えた。iDeCoのメリットやデメリットはひとまず置いといて、この制度の運営にかかわっているのが、役人や元役人であることは、忘れてはいけない事実だ。

Photo by gettyimages

iDeCoの普及について、熱心な団体がある。国民年金基金連合会だ。

バブル崩壊直後の'91年5月、国民年金法に基づいて設立された団体で、これは完全に官僚の天下り先になっている。

国民年金基金は、国民年金しか基本的に受給できない自営業者の上乗せ部分として設けられている基金だ。自営業では「歯科医師国民年金基金」「司法書士国民年金基金」など、業種ごとに国民年金基金があり、それを束ねているのが国民年金基金連合会となる。

本コラムではかつて、会社員の厚生年金基金の現状に触れた。厚生年金基金は、公的年金である厚生年金と異なる私的年金であるが、非常にずさんな制度と運営により、改組や解散が決定している。これらを束ねていた厚生年金基金連合会は'05年に企業年金連合会に改組された。

国民年金基金も同様に私的年金であり、加入者は減少している。'04年3月末ピーク時の78・9万人から、'18年3月末で37・5万人と半減した。厚生年金基金の失敗が明らかになり、国民年金基金サイドも私的年金の限界を感じ始めたのだ。

こうした危機感を持った国民年金基金が、加入者増加の「秘策」として見出したのが、'01年に制定された確定拠出年金法に基づくiDeCoの普及である。

 

'16年の確定拠出年金法改正により、同制度の加入者は冒頭に述べたような制限もあるが、20歳以上60歳未満の全ての人に広げられている。その結果、加入者は'15年3月末で21・3万人から、'19年6月時点で127・8万人と急上昇した。

こうした制度には当然カネの流れがあり、大きい事業になればなるほど額が膨らむ。iDeCoの諸手続きに伴う費用の一部(新規自動移換時手数料1029円、掛金収納等手数料1236円/年、新規加入時等手数料2777円)は、国民年金基金連合会の収入になる。

国民年金基金が天下り官僚の温床であることは、今に始まったことではない。iDeCoが監督官庁である金融庁と厚生労働省の大々的なバックアップを受けるのは、「国民の老後の安心」を建て前に、手数料を稼げる「カネの成る木」として存在意義を見出されたからにすぎない。

言ってみれば、官僚たちは国民よりも自分たちの老後のほうが心配なのだ。iDeCo自体にケチをつけるつもりはないが、なけなしの老後資産が天下り官僚の懐に入っているとしたら、誰だっていい顔はしないだろう。

『週刊現代』2019年8月10・17日合併号より

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら