2019.08.04
# 香港

警察の凄絶な暴力と闇に怒る市民…「香港の今」を日本人は知らない

デモは、新たな段階に入った
ふるまい よしこ プロフィール

その後、中継で事件を知った付近の住民たちが次々と駅に駆けつけ、出動が遅れた警官隊を取り囲んで激しい罵り合いへと発展。増え続ける市民たちの勢いに押されて警官隊が12時前に現場を撤退した後に、取り残された市民たちは三々五々同じ方向に帰る人たちを募って、グループを作って駅を離れ始めた。「立場新聞」記者もケガの手当のために病院に向かうと言って、動画中継はここで切れた。

だが、すでにほとんどの人が帰途についていた12時半ごろになって、再び白Tシャツグループが駅に戻ってくる。そして、すでに下りていた駅のシャッターを力づくで押し上げ、まだ現場近くに残っていた黒いTシャツ姿の市民を襲撃、男性らが血だらけになった。

最終的にこの日の無差別襲撃における負傷者は妊婦1人を含む45人、うち5人は重体と伝えられた。

 

警察とマフィアの微妙な関係が暴露される

この白Tシャツ姿の男たちは一体何者なのか。なにが目的なのか。なぜ警察は現場からの緊急電話、そして中継を見た市民からの通報ですぐに現場に現れなかったのか。そして、なぜ警官隊と白Tシャツグループはまるで入れ替わるようにして現場に出現したのか…。

さまざまな疑問と疑惑が無差別襲撃にショックを受けた市民の間から噴き出した。

襲撃の最中に警察に通報したという人たちは、電話がつながってもすぐに切られたといい、無力感と恐怖感でパニック状態。また、中継動画を見て慌てた市民の中には警察に電話が繋がらず、近隣の警察署に駆けつけたが、目の前でシャッターを締められたという例も報告されている。

7月30日、デモを取り締まる警察〔PHOTO〕Gettyimages

こうした初動の遅れが巻き起こした不安の他に、実は襲撃の真っ最中に警官が二人現場にいたことを証明する写真が多数寄せられる。後に警察関係者はこれに対して、「二人では人手が足りず、応援を待つしかなかった」と釈明したが、市民が襲撃されている最中に背中を向けて現場を去っていく警官の姿に対する市民の怒りは収まるわけがなかった。

次第に、こうした警察の「消極的な」態度が疑惑の的になっていった。駅で怯える市民を怒鳴り上げた武装警官隊の指揮官がその夜遅く、現場近くの廟で白いTシャツ姿の人物と面談している様子がメディアのカメラに捉えられた。また、出動する警官隊と白Tグループが1台のバンの両側を出入りする滑稽な様子、そしてその指揮官が路上で白Tと談笑する様子なども次々と写真で公開されるにつれ、市民の疑惑は「あれは警官もグルになってしかけたのだ」という確信に変わり始めた。

さらに、現地の元朗区の区議会議員もメディアに対し、「前日に不穏な噂を耳にしたので、警察に相談しておいた。当日の昼間にも改めて確認したが、『すでに対応済みだ』と言われた」と証言。その議員の一人は襲撃現場に駆けつけたが、事件に巻き込まれて入院治療を受けている。

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