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老後2000万円問題、サラリーマンが金融商品より「投資」すべきもの

人生最大のリスクを回避するために
いまだ尾を引く「老後2000万円」問題。今回の騒動で、改めて金融資産形成に力を入れようと思った方も多いだろう。
しかし、こんな時代だからこそ、金融商品ではなく、意外なものに投資せよとアドバイスするのが、社会保険労務士の佐藤敦規氏。人生のリスクを増やさないために、いの一番に投資すべきものとは?

サラリーマンはローリスク・ローリターン

老後の資金に年金だけでは2000万円不足するという統計報告の影響により、NISAなどの金融商品の売れ行きが好調のようだ。

しかし、もうすぐ定年を迎えるサラリーマンは、金融資産を増やす努力も大切だが、他に留意すべきことがある。

それは夫婦の関係である。

サラリーマンは自営業と比べて支給される年金額の面で恵まれているが、離婚するとそのメリットが半減するからだ。

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終身雇用制度の崩壊や平均年収額の低下によりサラリーマンは、“オワコン”だという意見がある。

しかし老後の生活の安定性という面では、サラリーマンは依然として有利である。厚生年金退職金制度があるからだ。

 

厚生年金の平均受給額は男性で16.8万円女性で11.2万円(厚生労働省 平成29年度 公的年金財政状況報告より)。

男性の場合は、基礎年金(国民年金)だけの人と比較して10万近くの多めに支給されている。

老後資金で2000万円不足しているという問題に対しても退職金の1000万円と親からの遺産相続(中央値で約1,087万円・フィデリティ投信が2017年1月に発表した「相続人5000人アンケート」)が加われば、退職時に貯金がゼロでもなんとか2000万円を賄えることになる。

日本の企業の大半を占める中小企業で働くサラリーマンの退職金の額は大企業と比較して圧倒的に少なく、中には退職金制度がない企業で働く人もある。

それでも東京都産業局が作成した統計「中小企業の賃金・退職金事情・平成30年版」によれば、東京都の中小企業の内、71.3%には退職金制度があり30年勤務すれば、大卒の自己都合で785万円高卒の自己都合で677万円というまとまった金額を手にすることができる。

また中小企業のほうが、賃金は低いが人手不足により年金支給開始年齢である65歳まで働ける可能性は高い。

もちろん、自営業者も自らが経営していた事業や店舗などを売却することによって多額な金銭を一度に得ることができるが、借金しか残らないという人もいる。ハイリターンを望める限り、リスクも高い。

これに対してサラリーマンは、収入が低かったとしても長く務めることさえできれば、引き換えに一定額の年金や退職金を貰える可能性は高いのだ。

老後の生活が困窮するというリスクは低いといえる。