前立腺がん急増で間もなく「男のがん」トップに…背景と死なない方法

医師が教える有効な検査
庄部 勇太 プロフィール

頴川教授は1992年に日本で初めて人間ドックのオプションにPSA検査を組み込んだ、検査普及の一端を担った医師でもあるそうです。

PSA検査は現在、健康診断や人間ドックのオプションとして2000円ほど追加して払えば受けられます。

厳密に診断するためには、PSA検査の後にMRIや前立腺の組織を調べる生検を行う必要がありますが、前段階のスクリーニング方法(=PSA検査)が普及したことで、発見率が上がったというわけです。

確かに、PSA検査の導入・普及と患者数が急増した時期がともに1990年代ですから、一致しています。

 

転移前に発見できれば完治する可能性大

検査の発展により前立腺がんが見つけやすくなったとのことですが、そもそも、前立腺がんを予防する方法はないのでしょうか。

胃がんについては発症の主因となるピロリ菌への感染の有無を調べ、感染していれば除菌することで「ほぼ防げる」と取材する消化器内科医は口を揃えますが、前立腺がんはどうなのでしょう。

「今までに予防医学を目的に様々な大規模研究が行われてきましたが、有効な方法はまだ見つかっていません。そもそも、胃がんを除く多くのがんと同じように原因が解明されていないので、防ぐ方法もわからないのです。多くの病気と同じように、前立腺がんも早期発見が最も重要です」

頴川教授によれば、前立腺がんは進行すると骨に転移しやすく、骨への転移後は激烈な痛みが出やすい怖い病気ですが、転移する前に見つけることは難しくないといいます。

「私が若手の医師だった30年ほど前は前立腺がんを患う患者さんのおよそ4割に転移が見られましたが、検査方法の普及などによって現在、東京慈恵会医科大学附属病院でいえばその割合は5~6%にまで減りました。前立腺がんは胃がんや大腸がんと同じように早期発見が行いやすく、また、早く見つかれば治せる可能性の非常に高いがんなのです」

治療方法は手術や放射線療法、がん細胞の増殖を防ぐために男性ホルモンの分泌を減らすホルモン療法が挙げられます。これらの治療を行うことで尿漏れや勃起不全(ED)、血尿、直腸障害などの副作用が起こる可能性はありますが、少なくとも早期発見・早期治療によって死の危険性は減らせるわけです。

また、前立腺がんは10年以上かけてゆっくりと進行していく特徴があるため、仮に見つかったとしても、がんの状態や症状の有無、患者の年齢や本人の希望によって治療を行わず様子を見るケースもあるといいます。

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