前立腺がん急増で間もなく「男のがん」トップに…背景と死なない方法

医師が教える有効な検査
庄部 勇太 プロフィール

2016年の罹患数は2位に

国立がん研究センターによると、前立腺がんの患者数は統計を取り始めた1975年から増え続けており、1990年ごろからは急増しています。

1975年から2014年における5年ごとの前立腺がん患者数の推移
引用元:国立がん研究センターが運営するサイト「がん情報サービス」

1980年に約4000人だった患者数は1990年に約8000人に倍増。そこからさらに増加のペースが上がり、2000年に約2万人に増え、さらに2010年にはその3倍を超える約6万5000人にまで増えました。

この時点で、男性がかかるがんとしては胃、肺、大腸に次いで4番目に多い状況でしたが、以降も増え続け、2016年に施行されたがん登録推進法に基づいて厚生労働省が行った調査によれば、同年における患者数は約9万人。大腸がんと肺がんを抜いて2番目に多いという結果が出ました。

なお、2016年における前立腺がんでの死亡数は1万1803人であり、単純計算で患者の約8人に1人が亡くなっていることになります。

2020年以降には胃がんを抜き、男性がかかるがんのトップになると予想されています。

1975年から2014年までの前立腺がん患者数の推移を表したグラフ。1990年代から急増していることがわかる
引用元:国立がん研究センターが運営するサイト「がん情報サービス」

 

急増の3つの背景

なぜ、前立腺がんは急増しているのでしょうか。

頴川教授は、①高齢化、②食事の欧米化、③効果的な検査方法の普及――の3点を理由に挙げます。

「他のがんと同じように、前立腺がんも加齢に伴い発症リスクが上がる病気です。特に50歳以降にかかりやすくなると考えられており、現在、患者の罹患平均年齢は72歳。長生きする人が増えることで患者が増えているのは間違いないでしょう。

その一方で、食事の欧米化の影響は厳密にはわかっていないのですが、動物性タンパク質のとり方が変わったこと、つまり、魚を食べる量が減り、赤身の肉を食べる量が増えたことが影響している可能性は一定程度あると考えられています。

そして重要なのは、効果的な検査方法が普及して、見つかりやすくなったことです」

異常を見つけるための検査

頴川教授のいうその方法は、「PSA検査」と呼ばれるものです。

PSAとは、前立腺から分泌されるタンパク質の一種であり、採血によってこの成分がどれくらい血液中に含まれているかを調べるのがPSA検査です。

がんなどによって前立腺に異常が起こると、PSAが血液中に放出されて濃度が上がるため、前立腺がんの疑いがあるかどうかを調べるのに有効だといいます。

PSA検査は、元は法医学の見地からレイプ事件の検査などに行われていましたが、1986年に海外で臨床に応用され、後に日本にも導入されました。

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