生まれる前の人生をご存じか? 人体誕生のメカニズムを旅する

誰しもが歩むからだ造りの道程

ある1人のヒトが受精卵の段階から成体にまで発達してくる経過を調べる学問は「発生学」と呼ばれます。発生学には個体の誕生を対象にする「個体発生学」と、ヒトならヒトいう種族が下等な段階から次第に進化してくる様子を調べる「系統発生学」とがあります。特に個体発生学の場合、胎児期の段階では成体とは違ったなじみのない形態が出現するばかりか、それがどんどんと変化してくるため、非常に難解だというイメージがあります。

そうした人体の発生について、わかりやすい入門書『カラー図解 人体誕生』がリリースされることになりました。専門書にある複雑さを極力省き、誕生までのメインストーリーに特化し、その道筋をわかりやすい図解にした、これまでにない1冊ということです。 

本書の中から、少しだけご紹介してみたいと思います。

  • ※本記事は『カラー図解 人体誕生』をもとに作成しました。 
  • イラストは、特記してあるもの以外は、同書からのものです。

からだという"小宇宙"誕生の神秘と難しさ

「自分はどこからどのようにやってきて、どこへいくのだろうか?」

 

これは誰もが一度ならず思い抱く疑問だろう。

「どこへいくか」についてはまったくの無知であるが、「どこからどのようにやってきたのか」との問いかけに、生物学、とくに発生学の知識を用いて答えをだそう、というのが本書の目的である。

つまり、受精卵という、たった1個の細胞から人体が誕生するまでのわずか10ヵ月足らずの間に、母体の中で展開されるドラマを見つめていこうというわけだ。

【CGイラスト】受精卵
  たった1個の受精卵から始まるドラマ

よくヒトのからだは「小宇宙」といわれる。

たとえ“小”だ としても人体は宇宙にも匹敵する巨大な被造物であり、その生い立ちの秘密を解明することは、まさに造化の神の営みに深く分け入ることにも通じてくる。すべての過程がものすごく合理的で、かつピンポイントの局所とタイミングで、なんらの間違いもなく進行してくることに驚かされる。

そのため、自然現象とはいえ、からだ造りの世界とは造化の神が演じる神秘の冥界であって、およそ人知のおよぶところではないとさえ思われてくる。