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パンダに次ぐ人気の「ハシビロコウ」。人を夢中にさせる7つの秘密

動かなくてかっこいい…らしい
今泉 忠明 プロフィール

3. 正面顔がコワモテ

筆者が監修しているハシビロコウの写真集

ハシビロコウの正面からの顔をつくづくとみると、マスクをかけたおじさんが目玉をギョロつかせているかのように見えてくる。そして目の上の額にあたる部分が膨らんでいて、羽毛であることを忘れれば、妙に人っぽく見えてくる

ハシビロコウの心の中は読み切れない。何を思いながらこちらをジッと見ているのか聞きたくなる。

思うにハシビロコウの目はそんなによく見えていないのではないかと。獲物しか見る必要がないといってもよいほど感情が目に表れないのである。だから、ハシビロコウがこんな顔をしてにらみつけてきても、この鳥が怒っているわけではないことだけは確かだ。

 

4. にらみつけるような眼、だが可愛い顔もする

ハシビロコウの怒ったようで怒っていないにらみつけるような目、実に印象的なわけだが、これは真正面からの顔つきにほぼ限定されるようだ。顔の角度が少しでも変わると、意外にも可愛らしい顔つきなのだ。

何もしゃべらず動かないが、見る人がわずかに立ち位置を変えただけで違った雰囲気の鳥に早変わりする。怖い顔の中に可愛さを発見すると、ホッとした気分になる。
長らくハシビロコウの前にいると、彼(彼女)が白目をむくことがあるのに気づく。それも左右同時にではなく、片眼ずつだから、あたかもウィンクしたような目つきになる。

白目をむいている那須どうぶつ園のカシシ〔PHOTO〕南幅俊輔/『ハシビロコウのすべて』より

これは鳥類のまばたきで、瞬膜は半透明で、光は通す。たとえば飛んでいる最中にまばたきしても光とぼんやりとした景色は見えているから、安全である。砂嵐の中でも鳥は飛ぶことができる。意識的に瞬膜を閉じればよいのだ。

5. 後頭部に寝癖のような冠羽

ハシビロコウの後頭部には飾り羽がある。冠羽とよばれるが、オウムやインコではよく目立ち、気分で立てたり寝かしたりすることで知られている。興奮すると筋肉が収縮して自動的に立ったりするのだが、敵に対して威嚇するときには立つ。また意識的にも動かすことができ、仲間とのコミュニケーションに使ったりする

ハシビロコウの冠羽は小さくて目立たず、まるで寝癖がついてしまった髪の毛のようで、ほほえましい。威嚇の時に立ち上がるとはいうが、鋭い目つき以上の効果がこの寝癖のような冠羽にあるとは思えない。むしろ求愛の時などに興奮するから立ち上がり、相手にそれとなく気分を伝えているのだろう。