日本のビジネスシーンでは、喜怒哀楽が乏しいと感じる。海外で仕事をしていると、外国人は、嬉しかったら嬉しそうに、楽しかったら楽しそうに、悲しかったら悲しそうにふるまい、怒りを感じたら怒りをストレートに表現している場面によく遭遇する。
さて、その中で「怒り」だけはグローバル・スタンダードともいえるものがあることを君は知っているだろうか? それは、2つある。
(1)怒りは単独で表さなければならない
怒りを、嫌悪や軽蔑と一緒にしてはいけない。たとえば「なんでこんなことをしたんだ! だから、おまえは使えないっていうんだよ。もう辞めちまえ!」と言われて、果たして人は行いを改めるだろうか? ということなんだ。そう、単に怒りのはけ口にしているに過ぎないから。
海外、特に中国やベトナムで、日本から赴任した工場長や社長が現地の従業員にこれをやってしまって、全従業員が反発し操業がストップした、などというニュースが以前はよくあったんだ。最近はさすがに赴任前にコミュニケーションの研修をちゃんと受けていくので、パワハラ・セクハラ同様に相当に減っていると思うけど。
(2)相手の特定の限られた行為を対象にし、全人格を対象にしてはならない
穴埋め問題として出題しよう。正解は何か考えてみてほしい。
Q. あなたの部下が大変なミスを犯した場合、あなたは、なんと伝えますか。以下の文章の( )を埋めよ。
A. あなたが、( )状況で、( )した or 言ったことに対して、わたしは、( )した。
どうだろうか? 正解は、たとえば次のようなものだ。
あなたが、(お客さんが前にいる)状況で、(やっている業務を人ごとのように)言ったことに対して、わたしは、(がっかり)した。
相手の、ある特定の状況での言動に対して、自分の感情を伝えるんだ。その際に、怒りをぶつけ、憤ってもいい。そのルールさえ守っていれば。
くれぐれも相手の全人格や存在そのものに対してではないことを忘れてはいけない。むしろ、普段穏やかな君が、そこまで感情を表現したら、君の部下も事の重大さに気づき、反省を促すことに繋がりやすい。
その後に「君ともあろう者が」などと付け加えたら完璧だ。