「ウサギを想像しないでください」
そう言われると、ウサギを想像してしまいますよね。つまり「ウサギを想像してください」と言われているのと同じ反応をしたことになります。
人間の脳は、否定語を理解するのが難しいんです。子どもはなおさらです。
京都大学の松村暢隆教授は、各年齢18人ずつの幼稚園児に対して、指示に合う色と形の組み合わせの図形を選ぶように言いました。すると、肯定語の場合、例えば「赤い三角」を間違えた4歳児は一人だけ、5歳児で全員正解でした。
一方、否定語の場合、例えば「青い丸と違うもの」という指示を出すと、正解した4歳児は18人中7人しかいませんでした。「青い丸」に気持ちが囚われてしまうんですね。
ですから、例えば結婚式に参列する時に「ここでは騒いじゃダメだよ」と言われれば言われるほど、子どもは「ここでは騒ごうね」という言葉のシャワーを浴びたのと同じ状態になります。やってはダメだと分かっていても、頭の中では「騒ぐ」に気持ちが囚われてしまいます。
つまり「○○しちゃダメ」という否定語の言葉がけは、子どもの意識にわざわざやってはいけないことのイメージをどんどん注いでいるのと同じです。結果、ちょっとした刺激でやってはいけない行動をさせてしまいます。
この場合は「ここでは静かにしていようね」という風に、肯定語で伝えてあげればいいんです。そうすると子どもの意識には「静かにする」が注がれます。肯定語で語り掛けることによって、落ち着いて静かにいられるようになるわけです。ちょっとした言葉がけの違いで、子どもの行動はガラッと変わります。
他にも例えば、「○○すると××になっちゃうよ」という言葉がけも同じく、子どもが正しい行動をとりにくくなってしまいます。「遅れちゃうよ」「怒られちゃうよ」「嫌われちゃうよ」などのような否定的な言葉がけも要注意。
「一緒にお片付けすれば間に合うね」などのように、肯定的な言葉がけに変えてみましょう。