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気温42.5度!ドイツ鉄道が考えた「猛暑対策」がトンデモすぎる件

労働者の権利は守られるべきだが…

仕事を放棄する権利??

先週25日、ドイツの気温が42.5度に達して、気象観測史上、最高新記録となった。今年二度目の猛暑だったが、ヨーロッパの広範囲が熱波に包まれ、フランスでは45度を越えたところさえあった。すでにアフリカか、中東並みだ。

しかも、ヨーロッパは、ここ数年、毎年、猛暑に襲われており、異常気象とばかりも言ってはいられなくなっている。

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ただ、日本ならクーラーがあるので、どんなに暑くても、建物や乗り物の中では一息つけるし、家では汗も引くが、ドイツでは、オフィスやホテル、レストラン、商店などで空調の整っているところはわずかだし、一般家庭のクーラーは皆無に近い。

つまり、職場も暑ければ、家も暑い。とくに最上階の家では、夜中も熱気が抜けない。24時間、この熱気に包まれているのはかなり辛い。

しかし、世界を見渡せば、クーラーの有無にかかわらず、大半の人間は暑いところで暮らしている。日本でも昔から、夏は暑いものだった。そして、当然のことながら、そこで生活している人々は、暑いからといって仕事を放棄するわけにはいかない。

だから、工事現場で働いている人も、郵便局や宅配の人も、自転車で幼稚園の子供を迎えに行くお母さんも、皆、炎天下でも頑張っている。もし、将来、ドイツでも暑い夏が普通になるとすれば、ドイツ人も、それなりに本格的な対策と心構えが必要となるだろう。

 

ところが、連続猛暑4年目の今年、彼らは早くも違う考えに至ったようだ。それが何かと言うと、「こんなに暑くては働けない!」。ドイツ人はバカンスでは暑いところに行きたがるが、仕事中はめっぽう暑さに弱いのだ。

うちの子供たちが小学校に通っていた頃、朝10時の気温が25度を超えたら、子供はさっさと家に帰された。先日から、オフィスの熱風を扇風機で掻き回しながら働いていた人たちは、どうも、それを思い出したらしく、新聞やテレビのニュースで、やおら勤労者の権利というのが取りざたされ始めた。

いったい、オフィス内の温度が何度になったら、我々は仕事を放棄する権利があるか?」という問題提起である。

現在の規定では、仕事場の温度が26度を超えないよう、雇用者は何らかの措置(日除け、扇風機、水の噴霧器など)を講じなければならないらしい。ドイツ人は、権利意識の異常に強い人たちなので、それを盾に取り、オフィスの温度が何度になれば業務を拒否できるかと、結構、盛り上がっている。

その際、日本人にとって不思議なのは、「だったらクーラーを設置しよう」という決断に至る雇用者があまりにも少ないことだが、これは説明がつく。

ドイツ人は、日本人のように、とりあえずクーラーを付けるというような考え方をせず、付けるなら、すべてきれいに壁の中に収めようと思うので、工事の経費が膨大になる。だから、新築以外の建物の空調設備はなかなか進まず、対策は扇風機で止まってしまう。

いずれにしても、当然のことながら、仕事場ではいくら暑くても、学校のように、「はい、今日はもうお終い」とはならない。その代わり、暑い間は、信じられないほど早朝から働いたり、あるいは、できる限りホームオフィス制度を取り入れたり、皆、それなりの工夫はしているのである。

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