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妊娠中にがん発覚…! それでも「幸せに産んだ人」たちの知恵と方法

他人事ではない
黒田 尚子 プロフィール

妊娠中に、手術、抗がん剤治療を行う

さて、がんと診断されたにもかかわらず、第一子を授かった怜子さんだが、同時に不安も感じているという。

それは、がんに罹患したことによる経済的な問題だ。

 

怜子さんが、出産前のがんの治療にかかった費用は、入院費用などの医療費や通院のための交通費、ウイッグ代など含めて自己負担は約35万円(高額療養費適用後)
その上、出産費用だけで70万円(出産育児一時金の支給額を42万円差し引き後)もかかっている。無痛分娩を選択したため15万円上乗せされた費用だという。

そして、今後も中長期でがんの治療が続く予定のため、子育て費用とともに、治療の費用も継続してかかってくる。

さらに、それ以上に不安を感じているのが、怜子さん自身、民間保険にまったく加入しておらず、これからもしばらくは治療が続くため新規加入等が難しいこと。がんになったことで住宅ローンが組めない可能性もあることなどだ。

最近では、がん経験者でも加入できる民間保険の種類も増えているとはいえ、健康体の人が加入するよりも保険料は割高だし、保障も制限される。まだ若い怜子さんは、がん以外の病気になったときのことも心配している。

住宅ローンについても、団体信用生命保険の加入が必須となっており、治療状況や健康状態によって可能性はゼロではないが、ハードルは高そうだ。仮に、怜子さんが夫とともに住宅ローンが組めたとしても、治療が長引いたり、再発・転移したりしたときのローン返済を考えると、安易にお勧めはできない。

まだ20代の怜子さんだけに、これからできれば第二子以降も検討したいと考えている。子どもを育てながら、いくつものライフイベントをクリアしていかなければならない年代だけに、この時点でがんに罹患した経済的リスクは大きいと感じられるのだろう。

ただ、保険適用となる医療費の部分については、公的制度や会社の福利厚生などで負担が軽くて済んだ。しみじみ、会社員(正社員)であることのメリットやありがた味を実感したという怜子さんは、「もうそろそろ保活を考えないと」とこぼす。
復職後は、治療と育児のほか、仕事との両立が待っている。