〔photo〕iStock
# 介護

親のためにやる「同居介護」が、じつは親孝行にはならない3つの理由

馴染めると思った私が悪かった

同居こそが「最大の親孝行」…?

私は1996年に遠距離介護を支援するNPO法人を立ち上げ、20年以上に渡り活動を継続しています。会員の多くは都市部に暮らす子。故郷で暮らす親の介護のみならず、生活全般をどのように支えれば良いのかと悩みを抱えています。

老親が遠い故郷で1人暮らしをしていると、多くの子は「同居、もしくは近居のほうが安心」と考えます。とはいえ、多くの場合、子には仕事があるので、親元にUターンすることは困難です。そこで、親を呼び寄せようとします。

「1人じゃ心配だから、こっちにおいでよ」と。

 

親にとって、この声がけは、暮らしを大きく揺るがすものとなります。

子は「親は喜ぶにちがいない」と自信満々のことが多いですが、親の受けとめ方はさまざまです。

「うれしい」と喜ぶ親がいる一方、「なんと言って断ろう」と悩む親もいます。

さて、これからお話しするタクヤさん(51歳:仮名、神奈川県在住)の母親(82歳)は……。

〔photo〕iStock

タクヤさんは進学で九州から東京に出て来ました。卒業後は大手企業に就職。結婚し、妻と長女と3LDKの戸建て住宅で暮らしていました。

転勤で海外と関西に転居した経験がありますが、最近は都内勤務が続いているそうです。長女が独立したのを機に、九州の実家で1人暮らしをする母親を呼び寄せることにしました。

「父が亡くなってからは年に3回ほど様子を見に行っていましたが、今後、介護が必要になるかもしれないし……。実家近所の親戚からも『一緒に住んでやれ』と言われ続けていました。それに、一緒に暮らすことこそが親孝行だと信じていました」