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偏差値55で「医学部に合格する人」たち、なぜか急増しているワケ

「チャンスは今」かもしれない
原田 広幸 プロフィール

厚労省も「お墨付き」

つまり、入学前の受験勉強でそれほど苦労することなく、超高額な学費の捻出に悩まされることもない。とにかく、まず、さらりと医学部に入ってしまおう、そして、学術的世界の共通言語でもある英語で医療を学びながら、有能な国際派医師を目指そう、このように考える「賢い受験生」が急激に増えているのだ。

以下、そんな医師への公然たる近道となった「ヨーロッパ医科大学」(ハンガリーやチェコ、スロバキアといった東欧諸国の医科大学・医学部の総称)へのアプローチ方法と、日本へ帰国後の、国家試験受験の実情を具体的かつ詳細に紹介しよう。

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かつては、わざわざ海外の医学部を卒業して、日本の医師になろうという人は、ほとんどいなかった。親の仕事の都合等で、たまたま進学先がアメリカやヨーロッパの医学部に行った人が、帰国時に合わせて医師国家試験(以下、国試と略す)の受験資格を得るための審査を申請することは、年に1、2名程度あったようだ。

日本の医学部を卒業した学生は誰でも国試の受験資格を得られるが、海外の医学部を卒業しても誰もが国試の受験資格を得られるわけではない。海外の医学部を卒業した「医師候補者」については、ルール上、厚労省が国家試験の受験資格を審査することになっている。

この事前審査をパスできなければ、国試の「本試験」は受けられず、国試の前段階である「予備試験」から受験し、国内の大学病院等で臨床研修を受けなければならない。それは、医学部5・6年生でやる研修と同じことを再度やり直すということだ。

 

以前はこの審査がかなり厳しかった。卒業した海外医学部のカリキュラムや教授陣、スタッフ数、病院数等について、詳細に渡るデータを申請書類に記入して提出する必要があり、その申請書類が厚労省で精査され、日本の医学部卒業生と同程度のレベルに達しているかどうかが見極められるのだ。

書類作成やカリキュラム等の事前調査には膨大な時間とコストがかかり、かつ審査が通るかどうかもわからない状況だったため、こんな不透明なルートをあえて選ぼうとする医師志望者は、ほとんど皆無であった。

元厚生労働省職員が上梓した『海外の医学部を卒業して日本で医師になる方法』(エール出版社, 2012年) を見ると、膨大な分量にのぼる書類申請の方法や、厚生労働省との「戦い方」までが記載されていて、本当に大変な作業であったことが伺われる。

しかし、現在は、こういった煩瑣で不透明な審査を自分でする必要は一切なくなったと思っていい。