アベノミクスの6年間で、日本と中国の格差はさらに拡大した

先端分野では、もはや及ぶべくもなく…
野口 悠紀雄 プロフィール

躍進するファーウエイは米中経済戦争の焦点に 

アメリカの調査会社IDC によると、2018年における全世界のスマートフォン出荷台数シェアは、1位はサムスンの20.8%、2位がアップルの14.9%、そして3位が中国のファーウェイ(華為技術)の14.7%だった。

2018年第2四半期(4月から6月)には、ファーウェイが四半期ベースでアップルを抜いて世界第2位になった。

通信機器の分野でも、ファーウェイの躍進が目覚ましい。基地局ベンダーの売上高シェア(2018年)で、スウェーデンのエリクソンについで世界第2位になった。全世界市場規模213億ドルのうち、エリクソンが29.0%、ファーウェイが26.0%、ノキアが23.4%のシェアを占めている。

5G(第5世代移動通信システム)は、現行サービスと比べて実効速度は100倍で、スマートフォンの性能を向上させ、さらに、自動車の自動運転、IoT、遠隔医療などに用いられて、社会の基本インフラになると期待されている。だから、この分野で中国企業であるファーウェイが世界をリードする存在になっていることの意味は大きい。

このために、ファーウエイは、米中経済戦争の焦点の1つになっているのだ。

 

基礎的科学技術力の向上

以上で見た中国ハイテク企業が成長したのは、中国政府がアメリカIT企業を中国から閉め出したためだと言われることがある。

例えば、グーグルは、2006年に中国市場に参入し、中国市場でのシェアがバイドウ(百度)に次ぐ2位になった。しかし、2010年1月、厳しい検閲に関して中国政府と意見が合わず、2010年3月に、中国本土での検索サービスから撤退した。

このように、中国IT産業成長の背景に、中国政府の保護があることは間違いない。そして、BATがこれまで提供してきたのは、アメリカで始まった新しいビジネスモデルの模倣でしかなかった。アリババはAmazon の、テンセントはFacebookの、そしてバイドゥはGoogle の、それぞれ模倣だった。

しかし、最近では、模倣とばかりはいえない状況になっている。

人材が成長し、巨額の開発資金が投入されているからだ。その結果、基礎的科学技術力が高まっている。論文数やコンピュータサイエンス大学院で世界1になっていることが、それ示している。

中国の成長は「本物」であり、それがゆえに、アメリカは重大な関心を持たざるをえないのである。