友森玲子さんが運営している『ミグノン』は、動物保護の活動だけでなく、動物病院とトリミングペットのフードやグッズなどの販売なども行うサロンを経営している。友森さんは本当は、動物保護だけの活動をしていきたいが、保護活動にかかる資金を募金だけで補うことは難しく、こういう形をとっているのだ。

こうして活動していると、「野良猫を保護した」「野鳥のヒナを拾った」という問い合わせがとても多いという。しかし中には、間違った善意によって、むしろ動物たちを苦しめる結果にもなりかねないというのだ。友森さんに現状を伝えてもらった。

野良猫の治療費を払うのは誰? 

先日、動物病院で仕事をしているときのことだった。
昼休みに、外来の老犬の歯科治療を終えて、容態を看ていたときだった。小学生ぐらいの子供を連れた母親が動物病院の診療室に入ってきたのだ。

「あの……、具合が悪い野良猫がいるんですけど……」
「今、連れてきているんですか?」
「いいえ、捕まえて家にいます。近所の人たちで餌を上げている猫で、写真だけ撮ってきたんですが……」

差し出すスマホには、確かに体調が悪そうな猫の写真が写っている。

「保護できて治療費を払っていただくということなら治療はします。でも、感染症を持っている可能性があり、他の猫に感染るといけないので、患者さんがいない時間帯に予約をして連れてきてください」と私は説明した。すると、

治療費ですか……」と顔が曇る。そしてこう言った。

それだったら、保健所に連絡します

結局、その親子はそのまま帰ってしまった。

無責任な親子の後に、現れた救世主

その後、30分ぐらい経っただろうか、別の女性が動物病院を訪ねてきた。

「お忙しいところすみません。あの……、親子がこちらに訪ねてきませんでしたか?」と。
「あ、あの具合が悪い猫ちゃんの件ですか?」と尋ねると、彼女は話し始めた。

「そうです! うちの近所でみんなで猫の餌をやっていたらしいんですが、猫の調子が悪そうで可哀想だ、保護するから猫のキャリーバッグを貸してほしいと言われ、貸しました。ところが、さっき戻ってきて“治療費がかかるからやっぱり逃がす”と言っていて。わざわざ捕まえておいて、治療費が負担できないからまた逃がすなんて、あまりに無責任だと思って、私が連れてきました。診ていただくことはできますか?」

猫を連れてきてくれた女性は、すでに自宅で猫が4匹も保護していた。自分のキャパは超えているので、その猫に関しては保護できない、だから餌やりなどもせず、手を出さずに見守っていたという。

彼女が猫の治療費を払うと言うので、どこまで治療するかを話し合った。ひとまず、トラブルが起きている目の感染症の治療と脱水対策で皮下点滴、持続型の抗生剤を注射して元の場所に戻して給餌だけする、これがコストも手間もかからない方法だ。彼女は「こうなったら最終的に自宅で保護することも考えます」と言ってくれ、入院し治療している間に預かり先を探すか、受け入れ準備をする形で進めることになった。