知的に見えて実は幼稚…夫の「静かなモラハラ」に気づかぬ女性の悲劇

実はあなたも被害にあってるかも…
谷本 惠美 プロフィール

モラハラパーソナリティからすれば、ターゲットである親密な相手は、「外の世界」の人間たちとはまったく違うということになるのでしょう。これは、普通の人の親密で大切な人に対する態度とは明らかに異なります。

親密になった大切な人を尊重するのが大人のコミュニケーションですが、モラハラパーソナリティは、親密だからこそ自分の思い通りに扱っていいと思っているようなケースがよく見られます。

「親密」であるはずなのに、なぜかコントロールしようとしてくる――その立ち位置が被害者を混乱させるわけです。私がもっと相手を理解してあげなければ。私が態度を変えれば相手も変わってくれるはず、と。

 

ため息や舌打ち

静かなモラルハラスメントは、明らかな暴言は、極力避けるケースが多いように思います。彼らは、不機嫌な態度で相手の心を惑わせる、相手が自分に責任を感じるような誘導をする、といった巧妙な行動をとるのです。そのため、モラハラと言う言葉と出会って、私のしんどさはもしかして…と思っても、その気付きに自信が持てません。また、他者に説明しようとしてもその「酷さ」が伝わりません。最も悪辣なモラハラを受けているにもかかわらず。

例えば、以下のような行動があったら要注意です。

何か二人で決めなければいけないことがあるとき、最終的な決定に行き着くまでに、自分のイメージと違うと「本当にそれでいいの?(ため息)」「君がそれでいいなら僕は何も言わないけれど(舌打ちやしばしの無視など)」と、被害者の感情をコントロールしようとします。

最終的な決定は、モラハラパーソナリティが当初から決めている終着点に誘導されたものになります。それも「君がそれでいいならそうしよう。君が決めたんだからね」と念を押したりします。

その決定がうまくいけば、「ほら、私の意見を聞いてよかった。私のおかげ。君一人では何も決められない」と言い、うまくいかなければ「だから心配だったんだ。やっぱり君の決定はこうなる」とそれを侮蔑の材料にさらに利用していきます。

こうしたことが、例えば家庭の中で大きい小さいにかかわらず、何か決めるときに常に繰り返されたらどうでしょう?

話し合っていると思っているそのやりとりは、実は全くコミュニケーションが成立しておらず、モラハラパーソナリティの意志だけが実は通されている。被害者は、日常的にモラハラ言動を受け続ける中で、自分の意見を強く言えなくなっていく。それどころか自分の考えがわからなくなっていく。そして、どんどん自信を削ぎ落とされていきます。