知的に見えて実は幼稚…夫の「静かなモラハラ」に気づかぬ女性の悲劇

実はあなたも被害にあってるかも…
谷本 惠美 プロフィール

罪悪感を利用して、他人をコントロールしようとする

この手のモラハラパーソナリティの言葉は、決して乱暴ではなく、一見知的にさえ感じさせます。「あなたのためを思って言っている」といった親切めいたものです。

しかし、彼らがそうした言葉を使うのは、相手をコントロールしよう、貶めよう、自分のストレスのはけ口に利用しようという意図の裏返し、その意図をもっとも効果的に実現するための手段なのです。そして相手の意志や価値観をことごとく無視し、自分のそれだけを押し付ける。

言動が一見知的に思えても、実はとても幼稚なものなのです。

それは子供が周囲を自分の思い通りにしよう、自分のいうことを聞いてもらおう、周りは自分の思い通りになるんだという全能感を全うしようとする行動と非常に似ています。いえ、そのものです。自分の思い通りにするために、年相応に身に着けた語彙や知識を用いるので大人のそれに見えるだけです。

被害者の方はたいてい、そうした相手のモラハラ言動を「大人の言葉」として受け止め、理解しようと努めます。自分のために言ってくれているのだと。

しかし幼稚な全能感を満たすための彼らの言動は日によって矛盾しています。互いを理解し合う姿勢が皆無で、相手の考え、生き方はお構いなしです。

自分の思いだけを押し付け、それが通らなければ侮蔑や軽い舌打ち、ため息、しばらくの無視などで「罪悪感」を抱かせ、相手の心をコントロールしようとしたりします。それらによってじわりじわりと受ける側の心が混乱し蝕まれていきます。そう。じわりじわりとです。それは、まるで低温火傷です。

 

ターゲットを絞ったら最後…

これも非常に厄介な点ですが、モラハラパーソナリティは、モラハラのターゲットに選んだ人以外にとってはとても良い人だと言われます。たしかに彼らは、外の世界については、年相応の経験と知識で自分の思い通りにならないことをちゃんと知っているため、周囲に合わせた行動ができます。そう、その点については「大人」だということです。

ところが、モラハラパーソナリティは、身近になった人が、一旦「自分の世界」に足を踏み入れると、「自分の世界ではなんだって思い通りになる」と言わんばかりに幼稚で傍若無人な行動を始めます。

モラハラパーソナリティは、交際や結婚、職場であれば上司・部下関係のなかで親密になったことによって、その人を「自分の世界に引き込んだ」と認識するのです。

そして、自分の世界に引き込んだ相手(ターゲット)は自分(モラハラパーソナリティ)の世界を作るため、自分の満足を満たすためにここにいる、といった扱いを始めます。恋人、夫婦間のモラハラでは、自分の心のゴミのゴミ箱として使い始めます。