知的に見えて実は幼稚…夫の「静かなモラハラ」に気づかぬ女性の悲劇

実はあなたも被害にあってるかも…
谷本 惠美 プロフィール

「前はこんなことはなかったのに、最近自分に自信が持てなくて。私なんていなくなってしまったほうがいいとさえ思ってしまう。うつっぽかったりイライラしたり。子供のちょっとしたいたずらに必要以上に怒鳴り散らしたりして自己嫌悪に陥ります」(A子さん)

自分がおかしい。自分が悪い。自分を攻めてばかりいる彼女。

そんななかモラハラという言葉に出会い、自分の不安定さは、彼との関係性から来ているのかも? とふと思ったそうです。

「ネットなどに書かれているモラハラの被害者の人たちのケースに比べたら私なんて本当にたいしたことない。自分のおかしさを相手のせいにしようとしている私のほうがモラハラ気質なのだろうか」と悩んだ末に、カウンセリングを使うことを思いついたと彼女は話します。

A子さんからじっくり話を聞いてわかったのは、彼女が典型的な「静かなモラハラ」の被害者だったと言うことでした。

 

ジワジワと蝕まれていく

私は関西で女性、家族、子育ての問題をメインに扱うカウンセリングルームを運営しています。モラルハラスメント関連の書籍を数冊書いたことから、自分はモラルハラスメントの被害者、あるいは加害者かもといった思いを抱いている人が来られることが非常に多くなりました。

モラルハラスメントという言葉も最近はずいぶん知られるようになりました。

その定義を確認しておけば、モラルハラスメントとは、身体的暴力はなくとも態度や言葉によって、個人としての自由、思想、生き方を否定し、人格を攻撃する暴力のことです。言葉自体は広まりましたが、本当のモラルハラスメントの怖さはまだまだ理解されてはいません。

ここでお伝えしたいのは、もっとも恐ろしいのは、低温火傷のようにジワリジワリと無自覚なまま蝕まれていく「静かなモラルハラスメント」だということ。これこそが人の心をズタボロにします。

もちろん、わかりやすいモラハラでも、関係性によってついつい不満を飲み込んでしまう、関係を受け入れてしまうということを長く続けていると、その人・被害者の心はズタボロになります。

しかし、静かなモラルハラスメントは、自分が壊されていることに、ことさら気付きにくく、とても厄介なのです。

ではなぜ「気づきにくいモラハラ」が厄介なのか。その理由と、「モラハラパーソナリティ」(モラハラを常態的に自分のために行う人を私はこう称しています)の特徴を解説しましょう。