「客のままなら、単価が明確だし、天井はそこまで高くないんですけど、『資質があるから占い師になる方法を教える』とささやかれて乗っかってしまうと、大変なんですよ。

良心的な占い講師もいますが、不当に高額な受講代をふっかけてくる人や、精神的に不安定な人も多い世界なので。そういう占い師と師匠-弟子の関係になると、ずぶずぶの共依存になって、戻れなくなっちゃったりもするんですよねえ……」

こ、こわ!

ただ、わからなくもない。「なれる」商法に乗っかってしまう人は、なにも占いで使ったお金を取り戻したいわけではない。そもそも占いに通っているアラサーには、「埋めたい心の隙間」がたっぷりとある。

そこに「占い師になれる」とささやかれたら、「自分が受け取った安らぎのようなものを誰かに返したい」「自分が楽しんでいるものを、何か価値のあるスキルにしたい」という気持ちを抱いてしまうことは、わたしだってあるだろうなと思う。

信用している「推し」に目をかけられたら断れないという側面もあるだろう。でもそこには何かひとつのものにお金と思いをかけることは、それ以外の人・ものを断絶してしまう危険性もはらんでいる。

なお、Mさんによれば、この「あなたも◯◯になれる」商法は占いに限らないのだという。

「ここ数年目につくのは、『コーチング』。わたしの昔の友人にも、心酔したコーチから『あなたも独立できるから』と説得されて、熱心にコーチング修行をしている人がいました。たまに練習相手をしていたんですが……こちらの話を聞くより自分の話をすることに一生懸命で、コーチは向いてないだろうと思っていました。

さすがに本人には言えなかったんですけど。みんな『変わりたい』という気持ちゆえに、占いやコーチングにお金を使ってるので、どうしても惹かれてしまうのはわかるんですが、安易に『なれる!』とすすめてくる人間には気をつけてほしいですよね」

遊びやエンタメとしての「課金」と、人生自体への「投資」の違いをしっかりと見極める。それが、身を持ち崩さないための第一ルールなのかもしれない。

<つづく>

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