肩コリに効くような気持ち良さ

Mさん「何を占えばいいんでしょう? その人との相性ですか?」

ひらりさ「いや、違うんです。何か、その人とどうしたいとかっていうふうにはあんまり思ってないんですよね。でも、私はどうしてこんなにも、人に対して素直な『好き』と言ったり、相手に好意を示す物言いができないんだろうとは悩んでいて。なんだろう、地に足がついたコミュニケーションをするにはどうしたらいいのかという……すごい、根本的なことを言ってしまった」

Mさん「ひらりささん、いつも以上に腰がひけていますね(笑)。そうしたらまず、下半期の恋愛運を見てみましょうか。……(タロットをめくりながら)……し、死んでる」
写真提供:ひらりさ
ひらりさ「死んでる!?」

Mさん「今のひらりささんって、自分を好きになってくれる人を探して、『早く告白してくれ』って感じなんですよ。いろんな人にカマかけて回ってるみたいな精神状態。トスを一生懸命してるつもりで、そのトスが弱いんですよね。生命力が弱まってるから」

ひらりさ「私のトスが弱い…表現が的確すぎませんか……。

実は5月に、酔っ払いすぎてiPhoneをなくしてめちゃくちゃ落ち込んで。友達から教えられた新宿南口のタロット占いに行ったんです。そのときにも『今は心身の具合が悪すぎて、仕事や恋愛どうこう言ってる場合じゃない。下半期は心と体を回復しなさい。具体的には自炊』と言われました」

Mさん「あー、『吊るされた男』の正位置も出てこの配置だと……“無私の奉仕”……やっぱり海外留学かボランティアですかねえ」

ひらりさ「恋愛と健康のためにボランティアを……」

振り返ってみても、マジで曖昧模糊な質問に答えてもらっているのがおわかりだろうか。しかし、これがめちゃくちゃ心に効く。自分がモヤモヤと考えていることを、他人から、違う目線で言語化してもらうことは、気づかぬうちに蓄積していた肩のコリにグッと力を加えられるような気持ちよさがあるのだ。

そもそも元交際相手に振られた直後、一番に駆け込んだのも、実はMさんのタロット占いだった。ひらめきで未来の運勢や人との相性を示してもらうよりも、私のことを長いスパンで見てきた人に今の自分の状態を丁寧に聞いてもらうというのが、何度も繰り返すうちにたどり着いた、わたしなりの占いとの親しみ方である。

Mさんはそもそも友人だし、お茶代なんてものは本当にささやかなものなので、実質「友達に時間をとって話を聞いてもらっている」のとほぼイコールではある。

しかし、それでも「ホロスコープ」「タロットカード」というギミックをかませ、「占い」という体裁をとることで、「普通の友達が聞いてもつまんないだろうな、面倒だと思われるだろうな」というしょうもないことを率直に話すことができるようになり、また相手の意見を素直に受け入れられるようになっている。

あるいは、素直に受け入れられない、ピンと来ない部分があっても、「まあ、占いだから」と、そこを脇に置くことができるのだ。MさんはMさんで、「占い」だからこそ、わたしにあれこれと意見を言える部分もあるのではないかと思う。これは、プロの占い師のところに通っているアラサー女子たちと、その占い師の関係にも当てはまることだろう。