こんな症状が出たら要注意
パンケーキシンドロームはそのネーミングから、食物アレルギーのように思いがちだが、実際にはパンケーキなどの粉の中で繁殖したダニが原因のダニアレルギー。そのため、症状が起きても患者自身が気付かないケースも多いという。
「私たち医師は、受診した患者さんの話を聞くのが最も重要です。どのような状況でアレルギー症状が出てきたか、そこを細かく聞くようにしています。そうしてアレルギーの原因を絞り込み、血液検査でIgE抗体(アレルゲンと結合することで、アレルギー反応を引き起こすタンパク質)を見つけます。
パンケーキシンドロームの場合、仮に自宅にあるお好み焼き粉が疑われると、そのお好み焼き粉を持参してきてもらい、新しいお好み焼き粉とで皮膚テストを行います。古い粉で反応が出ると、アレルギーの原因がようやくダニだと分かるのです」
ただ、患者さんが1人で受診できる状態ではなく、アナフィラキシーの場合は、問診をしっかり行うのは後回しになる。
これまでに何度も出てきているアナフィラキシーとは、次のような3つの重症のケースを指す。
「皮膚・粘膜症状は全身の発疹や紅斑、呼吸器症状は息苦しいなどの呼吸困難、喘鳴、そして循環器症状は血圧が低下したり、意識が遠のくなどの症状を指します」
「持続する消化器症状とはお腹の症状です。お腹が痛かったり、吐いたり、下したりりする場合などが当てはまります」
「私たちが最も怖いと思うのは、いきなりの血圧低下です。視野が暗くなって、目が見えなり、周りが狭くなって暗くなってきます。この場合は、特に『アナフィラキシーショック』と呼ばれ、最も重症な段階と言えます」
パンケーキやお好み焼きを食べて5分くらいから咳が出て、のどがつまる感じがし、呼吸困難になる。目の周囲は腫れ、顔全体が赤くなり、鼻水も出てくる――。こうした一連の症状が出たら、すぐにパンケーキシンドロームを疑うべきということだ。