非正規・無職の女性たちをずっと無視してきた「日本社会の罪」

結婚も出産も厳しい「無子高齢化」の現実
前田 正子 プロフィール

それでは、正規雇用への登用や安定した職の確保の対象には、団塊ジュニア、就職氷河期世代の女性は含まれているのだろうか。非正規が多い就職氷河期世代だが、そもそも男性よりはるかに女性の方が非正規雇用者比率が高い。

女性の非正規労働者といえば主婦のパートと考えがちだが、実際には40〜44歳の未婚女性のうち働いている人の約34%、45〜49歳では約35%が非正規である(同年代の未婚男性の非正規割合は約2割である。『就業構造基本調査』(2017年)より)。

 

未婚者が増えている中で、非正規雇用の未婚女性は40代前半で約25万人、40代後半で約21万人いる。彼女たちはこのまま非正規で働き続けるのだろうか。いつか正規雇用者になることはできるだろうか。

さらに、未婚女性には無業者も一定割合存在する。同じく「就業構造基本調査」からみると、未婚女性の無業割合は40代前半で約16%、後半で約19%である(実は未婚の男性の無業率も女性とほぼ同じである)。

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「結婚・出産しているのは正規雇用者」という現実

これまで未婚化が進んだ背景には、男性の所得が下がったことや非正規雇用の問題があるとされてきた。だが最近わかってきたのは、女性でも、非正規や無業の人よりも正規雇用の人の方が結婚する確率が高いということだ。

さらに、非正規と正規の人を比べると、出産している人が多いのも正規雇用の人である(現在の状況ではなく結婚前、出産前の状況を比較した場合)。正規雇用者はより所得が高く、出産や育児支援の制度が整っているからだと考えられる。パートナーとなる女性の経済力を気にする未婚男性も増えてきている。

男女ともに安定した雇用と経済基盤がなければ、家庭を持つことは難しい。しかし、社会も「女性は結婚すればなんとかなる」と、女性の働き方を軽んじてこなかっただろうか。そして、非正規や無業の女性たちを「見えない」存在として扱ってきたのではないだろうか。

かつて就労支援機関に来る相談者は男性ばかりだったが、最近では女性も来るようになっている。しかし、実は支援機関が40代の相談も受け付けるようになったのは、やっと昨年からである(しかもいくつかの支援機関のみである)。

非正規で働いている人は仕事を休むと収入がなくなるため、就労支援の窓口に来るのも職業訓練を受けるのも難しい。

2019年のGW10連休で仕事が休みになり、収入が途絶えて食べていけない、と悲鳴を上げた非正規の人たちのことを思い出していただきたい。