読書垢が熱狂した「この講談社文芸文庫がすごい総選挙」の一部始終

予想を超える熱気と活気…その結果は?
あさだ プロフィール

予想を超える熱気と活気

食事と授業を経て帰宅し、晩――再びTwitterを開くと、わが目を疑った。

「総選挙」タグを付けた投稿が、Twitter上の知己たちの手でリツイートされ、タイムライン上に広がっている。タグ検索をしてみると、次々に新たな投稿が表示される。
タグは、私が知らぬ間に少しずつ勢いを伸ばしながら、知らぬ間に「祭り」となりつつあったのだ。

ただの内輪の布教合戦、それも便乗で始まったものが、ここまで広まるとは。戸惑いと興奮が湧き上がり、止むことのない投稿を一心にリツイートをしていた。

この勢いを見るうちに、私の中に、ある欲が湧いてきていた。

「このお祭り騒ぎを、何事か形にできないか?」

 

翌朝――7月5日(金)を迎え、Twitterを開くと、「投票」の勢いは止まらないままであった。中には選び切れず、手持ちの大量の文芸文庫を写真に収めて投稿している人までいた。何しろ、後世まで残るような名作を、集中的に収める文庫である。読書人の皆さんでも選び切れるわけがないではないか。それだけの数の本に投票せずにはいられないという気持ちは、私にもわかる気がした。

タイムラインには、既にして多くの「投票」が集まっていた。100を超えるツイートが投稿されている。それら一つ一つが、それぞれの人々の、それぞれの作品への、そしてそれを世に出した講談社文芸文庫への熱い思いの発露に感じられた。

この熱狂を、ただのお祭り騒ぎで終わらせたくはない。

これらの「投票」を集計し、文字通り「総選挙」としての結果を出してみたい。自然発生したものが自然消滅的に雲散霧消するよりは、ずっといい――。

私の中で、方向は定まった。

私はタイムラインを遡ってみた。

見てみると、作品と言うよりかは作家に「投票」している人が、半数に迫る勢いである。

その作者の人生や人間性、或いは作品総体から見えて来るその作者の世界観に興味を持って読む人は、多い。実際、特定の作家の書目をひとまとめにして写真に収め、推し作品の書名を記さずに投稿して来る人は多かった。

また、文芸文庫が力を入れている作家がいる。例えば、庄野潤三や吉田健一などは、文芸文庫にかなりの数の作品が収められている。この文庫を通して、そうした作家達のファンになった人は多かろう。彼等の作品についても、写真で纏めて票を投ずる人々が多かった。

むろん、文学全体からすれば、文芸文庫という限られた範囲から選ぶ時点で公正とは言い難い。しかし、構うものか。そもそもこれは、「どの講談社文芸文庫の本がすごいか」を示してもらうお祭りなのだ。

それに、参加して下さった人々は、もとより数字では計れないものを求めて、このお祭りへ参加している。

集計作業は作品と作家の二本立てとすること、「後祭り」のように、集計が終わってからも目を配り、結果には反映されなかった書目や作者へも言及することなど、具体的な方法も決まった。