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かんぽ生命の不正販売は「中途半端な民営化」がすべての原因だ

根本的に議論をするときが来た

郵便局が取り扱う「かんぽ生命」の商品で多数の不正販売があったことが明るみに出た。この問題は同社の販売手法といった個別の問題ではなく、中途半端な形で民営化してしまった日本郵政グループそのものの問題である。このまま経営の問題にメスを入れずに放置すれば、将来、同じようなトラブルが再発する可能性が極めて高い。

日本ではいまだにガバナンスという概念が定着していないが、稚拙な資本市場の運営は、結果的に消費者に大きな被害をもたらすという現実について、私たちはもっと理解しておくべきだろう。

 

高齢者にとって郵便局は今も「お役所」

かんぽ生命は2019年7月10日、保険の不正販売問題の発覚を受けて記者会見を行い、顧客に不利益があったとして謝罪した。半年以上にわたって顧客に新旧契約の保険料を二重払いさせていたケースや、本来であれば特約の切り換えで済むにもかかわらず新契約を結んでいたケース、旧契約を解除した後、健康状態などを理由に、新しい保険に乗り換えることができなくなったケースなど、内容は多岐にわたる。

一連の不正の背景となっているのが、販売を担当する郵便局員に課せられたノルマである。

例えば、二重払いのケースでは、新契約を結んでから6カ月以内に旧契約を解除すると乗り換えとみなされ、営業成績にカウントされないことから、6カ月が経過した後に解約させていた。旧契約の解約から3カ月以内に新契約を結んだ場合にも乗り換えとなってしまうので、3カ月経過してから、新契約を結ばせるケースもあったという。この場合、3カ月間は無保険状態なので、その間に何かあった場合には保険金は支払われない。

こうした不正販売が横行していたのは、顧客に高齢者が多いという郵便局特有の事情が関係している。高齢者にとって郵便局は今でも「お役所」であり、局員に言われるがままに契約をする人が少なくない。こうした状況を悪用し、不正契約を重ねていった可能性が高い。

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一連の悪質な販売手法は、ごく一部の局員だけが行っていたというわけではなく、組織的だった可能性も指摘されている。

日本郵便が、全社員に向け「ソーシャルメディアへの機密情報などの書き込みを禁止する」という内容の文書を通知したことが明らかとなっており、経営陣が内部告発を強く警戒していることが分かる。

2900万件にのぼる全契約を対象に、手紙の送付や直接訪問などで契約内容の確認を行う方針を打ち出したことも考え合わせると、経営陣は広範囲にわたって不正契約が存在すると判断している可能性が高い。