京アニ放火事件…死亡者を全員解剖する理由と大変な困難

法医解剖医の視点から
西尾 元 プロフィール

黄色になった皮膚からわかること

熱が皮膚に作用すると、皮膚は徐々に変化する。

まず、赤くなる。赤くなったところに熱が作用し続けると、赤かったところは、水ぶくれになる。それでも熱が作用し続けると、水ぶくれは破れて、皮膚は黄色くなる。さらに熱が及び続ければ、黒くなる。最後には炭になるというわけだ。

事件発生現場から少し離れた場所で、被疑者は警察に確保された。そのときの様子がテレビ映像に映っていた。道路に横たわる被疑者の右足のズボンは焼けていて、足の皮膚は黄色になっているように見えた。

 

大まかなことをいえば、皮膚が水ぶくれまでの状態であれば、皮膚は自力で再生する可能性がある。

だが、一旦黄色くなってしまった皮膚は再生することができない。黄色く変化した皮膚は取り除いて、健常な皮膚をその場所に移植しなければならならない。

皮膚は体の中で最大の臓器とも呼ばれている。皮膚は、感染から体を守っている。皮膚が健常な状態でなければ、外界からの感染を防ぐことはできず、人は感染症で死亡することになる。

報道によると、被疑者は身柄が確保されたときには意識はあったが、一時意識不明の状態になったという。被害者の中にも意識の戻らない人もいるという。

火災現場での熱作用によって、皮膚の移植手術が必要だったり、ショックによる臓器不全になったりしている人がいると思われる。