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京アニ放火事件…死亡者を全員解剖する理由と大変な困難

法医解剖医の視点から

火災現場の死亡者を解剖するわけ

2019年7月18日、京都のアニメーション制作会社に男が侵入して、ガソリンを撒いて着火するという事件が起こった。

この事件では、7月28日の時点で35人が亡くなった。意識不明などで、今でも病院で治療を受けている人もいる。

警察庁によると、死者数の多さからいうと、平成以降の放火事件としては最悪の事件だという。

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火災発生現場で見つかった死亡者は、原則として法医解剖される。

解剖するかどうかの判断は、法医解剖医ではなく、警察が決めることになっている。

大分以前の話だと聞いているのだが、火災現場で見つかった遺体について、事件直後、警察は失火による事故によるもので犯罪性はないと判断して解剖しなかった。

 

ところが後になって、実は、殺人放火事件だとわかったことがあった。それ以降、火災現場で発見された遺体について、原則として、警察は、死亡者を全員解剖することにしたと聞いたことがある。

火災現場で見つかった真っ黒の遺体をながめてみても、火災が発生したときに、その人が生きていたのかどうかを判断することは不可能だ。

法医解剖医が火災現場で見つかった遺体を解剖するときに判断しなければならないことにはいくつかあるが、火災が発生したときに、被害者が生きていたのかどうかを明らかにすることは最も重要なことになる。

法医解剖医はそれを明らかにするために、どういった点に注目しているのだろうか。