つくばエクスプレス「基地内脱線事故」本当の原因は何だったのか

運営会社の発表に抱いた疑問
田中 圭太郎 プロフィール

社員への責任転嫁?

取材を進めた上で判明した脱線事故の主要な原因は、非常ブレーキの力が弱かったことと、会社が開業以来、動作確認試験の際にブレーキの検査を甘い方法で実施してきたために、非常ブレーキの力を正しく確認していなかったことだ。

しかし、会社が発表した文面からは、この原因は読み取れないだろう。本来書くべき原因を完全にスルーしている。しかも再発防止策には、「担当者の体制の強化及び教育・訓練を充実させる」と、担当者が未熟だったかのような内容も記載されている。

(参考:会社が発表した文面 http://www.mir.co.jp/company/release/upload/bb3e59a8c2957601aa188a68975ac739_2.pdf

 

つくばエクスプレスでは、脱線事故が起きた後の今年5月、6両編成の車体2編成から、あわせて8か所のひび割れが見つかり、急遽これらの車両の営業運転を取りやめた。この車両も2012年に導入されたものだが、なぜ急に2編成でひび割れが見つかったのか、これまでの検査でなぜ見つからなかったのか、と疑問が浮かぶ。

脱線事故以前にも、特に2016年頃から、ホームドアが正しく作動しないために人や物が挟まれる事故が発生するなど、運行をめぐるトラブルが多発している。内部からも安全性を危惧する声があがっていた。ある社員は、「トラブルの多くは社員よりも会社の検査体制や、設備更新の遅れなどが原因」と話し、会社が発表した今回の脱線事故の原因についてこう呟いた。

「脱線事故が起きた本当の理由は、開業以来ブレーキの効き具合を試験してこなかったことであり、会社全体の問題です。それなのに、発表された内容では、試験に携わっていた人間に責任を負わせているように見えます。たしかに加速するのが遅れたミスはありますが、人為的なミスに持っていくのは無理があります。会社が責任を負わず社員のせいにするのが、首都圏新都市鉄道の体質です」

発表文は、脱線事故の原因を正しく発表していないばかりか、事故の責任を社員に転嫁しようとしている、と受け取られてもおかしくない。これでは首都圏新都市鉄道への不信感は増すばかりだろう。