つくばエクスプレス「基地内脱線事故」本当の原因は何だったのか

運営会社の発表に抱いた疑問
田中 圭太郎 プロフィール

検査が甘かった可能性

首都圏新都市鉄道に、事故の原因について改めて取材した。非常ブレーキが効かなかったことが、最も大きな要因だったのではないかと質問すると、「確かにそうです」と認めた。

 

事故を受けて首都圏新都市鉄道がメーカーと共同で実施した調査によると、脱線事故が起きた車両の非常ブレーキは、通常の半分を少し超えるくらいの力しかなかった。

この車両はつくばエクスプレスの中で最も新しい、2012年に導入された車両だ。ブレーキの力が弱かった理由をさらに聞くと、動作確認試験をする前に行うブレーキの検査が甘かったため、ブレーキの力が弱くなっていることに気付いていなかったことを明かした。

試験の前には、各部品をバラバラにして検査をしてから、また車両に取り付ける。各部品が正常に作動するかどうか、連携するかどうかを検査してから試験に臨むが、この検査の方法が甘かったために、ブレーキの力を正しく把握していなかったというのだ。検査の方法は、開業当時からずっとおなじだ。

ということは、つくばエクスプレスではこれまで、動作確認試験の際にブレーキの力が正常なのかどうかを正しく確認してこなかったことになる。同様の事故がいつ起きてもおかしくない状態だったのだ。

では、実際に運行している車両は大丈夫なのか、と不安になる。首都圏新都市鉄道は「実際に運行している車両は、ブレーキ力を確認して試運転を行なっているので問題はない」と回答した。今後は動作確認試験をする前のブレーキの検査も、より厳しくするという。

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首都圏新都市鉄道は7月9日、国土交通省に事故原因と再発防止策を報告した。国土交通省の担当者は筆者の取材に対し、「今後も定期検査で動作確認試験は実施されるわけですから、再発防止策通りに実行していただいて、同じような事故が起きないようにしてほしい。事故を起こすと列車としても使えなくなります。原因を究明したということなので、しっかりやってほしいと思います」と再発防止を強く求めたことを明かした。