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吉本興業が請け負う政府・省庁「肝いり事業」は、まだこんなにあった

会長は政府委員を兼任

続々と上がる疑問の声

反社会的勢力と芸人の交際に端を発した「吉本騒動」が、意外な方向に発展している。

「政治レベルで大問題になりつつある。それというのも、多額の税金が投入される政府系の出資事業に多数絡んでいることが明るみに出たからだ」

経済産業省関係者はそう語る。同省が資金提供している官民ファンド「クールジャパン機構(正式名称は株式会社海外需要開拓支援機構)」が、吉本興業がかかわる事業に多額の出資を繰り返してきた事例については、前回の記事「渦中の吉本興業に『クールジャパン』で巨額の税金が注ぎ込まれていた」で報じたが、改めて振り返っておこう。

 

同機構は、日本のアニメや食文化などの魅力を海外に発信するほか、インバウンドの増加を促進することを目的に2013年に安倍政権の成長戦略の目玉として設立され、現在は安倍首相の信頼の厚い世耕弘成経済産業相のコントロール下にある。同機構はこれまで、次のような出資を行った。

1.2014年、吉本興業や電通などで構成されるコンソーシアムによるエンターテインメント・コンテンツの創作とアジア各国への発信事業に10億円を投資。

2.2018年、吉本興業が参加する大阪城公園でのエンターテインメント発信事業に対し、12億円を投資。訪日外国人観光客などを対象としたものだが、同時にエンターテインメント産業を担う人材の育成も図る。大阪城公園内には「クールジャパンパーク」なる施設が開場、吉本興業所属芸人の公演などがこの夏も実施されている。

3.2019年4月、吉本興業がNTTと提携し、教育コンテンツを発信する事業「Laugh & Peace_Mother(ラフ&ピースマザー)powered by NTT Group」に対して最大100億円まで投資すると決定。事業は沖縄・那覇市を拠点に今年10月から始動し、5GやVR技術などを活用した映像コンテンツを子供向けに発信する予定。

こうした事業に関係する省庁の大臣たちが、騒動を受けて続々と非難の声を上げている。

「文化の健全な振興の観点からもガバナンス(企業統治)、コンプライアンス(法令順守)は極めて重要だ」(柴山昌彦文部科学相)

「吉本興業はクールジャパンのコンテンツ制作者として非常に有力な企業の一つであり、法令順守の徹底や説明責任を期待せざるを得ない」(平井卓也科学技術担当相)

「一国民としてはすっきりしない」(片山さつき地方創生担当相)

クールジャパン機構を管轄する当の世耕弘成経済産業相までも、「一般論として反社会的勢力と付き合うことは厳に慎むべきだ」とコメントした。だが、吉本興業と政府のつながりは、これだけにとどまらない。

「騒動が拡大する最中、吉本がなかなか記者会見を開かなかったのは、『もっと隠したいこと』があったからではないか」

前出の経済産業省関係者はそう疑っている。