Photo by iStock

せっかく書いても無効に… !?「遺言書」は来年7月以降に作るべし

「死に方のルール」変更にともなって

完璧だと思っていたのに…

都内在住の西川久子氏(82歳・仮名)は、今年3月、85歳の夫を看取った。残念ながら夫の先は長くないと判断していた西川氏は、夫に遺言書を書いてもらっていた。

「私たち夫婦には子どもがおりませんので、相続人は私のほかは夫の兄弟になります。そちらとは疎遠だったため、夫の死後に揉めないよう、細かく『財産目録』をつけた遺言書を夫に書いてもらいました」

西川氏は、新聞報道で、自筆証書遺言の要件が緩和され、「財産目録」については今年1月からワープロ打ちも許容されることを知っていた。

「私が財産目録を打ち込み、遺言書本文は夫に自筆で書いてもらいました。主に、私には都内の実家が、夫の兄には宮城県の不動産、夫の弟二人には預貯金や株式が相続されるような内容でした」

 

やり方は完璧だったように見えた。

だが、夫の死後に暗雲が立ちこめる。義兄弟と遺言書を開封するため、家庭裁判所に向かったときのことだった。

開封した書記官が「この遺言書は無効です」と口にしたのだ。

問題は西川氏が作成した財産目録にあった。

「財産目録はワープロ打ちが認められるようになりましたが、実はその一枚一枚に遺言者の署名と押印が必要なのです。また、不動産の謄本のコピーや権利書を添付する場合、そのコピーにもそれぞれ署名と押印をしなければなりません」(税理士・山本和義氏)

よかれと思って飛びついた新制度だったが、まさかこんな落とし穴があったとは……後悔しても後の祭りである。いま西川氏は、夫の兄弟から終の棲家を奪われてしまうのではないかという恐怖のまま、泥沼の「争族」に突入しかかっているのだという。