法改正で「死に方のルール」が変わった…相談急増「4つの変更点」

知らないと、死んでから後悔します
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配偶者居住権は、妻の死亡とともに消滅する。すると、妻の死後、所有権を持っていた子がそのままその家を引き継ぐことも容易になる。

「妻の死亡で居住権が自然消滅した際には、特別な課税が発生しない。すると子の側からすれば、父の相続の際に母の居住権分が減額されているわけですから、税制上大きなメリットになる可能性があるのです」(税理士・山本和義氏)

妻の死後の「二次相続」までトータルで考えても、相続税を圧縮できるというのだ。司法書士の内藤卓氏も言う。

子供夫婦と同居している家では、安心な制度です。従来だと、このケースでは長男に自宅を相続させるパターンが多い。

しかし、その後に長男が妻より先に亡くなると、妻が長男の嫁と折り合いが悪い場合、最悪、追い出されてしまう可能性がありました。配偶者居住権はそれを防げます」

 

配偶者居住権の設定は、遺言書に記しておくことがポイントだ。

ただし、この新ルールも万能ではない。配偶者居住権には落とし穴がある。「終身」の権利であるという点だ。

居住権を登記してしまうと、子も含めた第三者に譲渡が困難になる。子が売却しようにも、妻の居住権がくっついている家では値段がつくはずもない。

「妻が老人ホームなどに移るケースも考えられますが、そのときは配偶者居住権が放棄により消滅することになります。その場合、妻から子に贈与があったとみなされてしまい、贈与税が課税されることになる」(前出・山本氏)

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思わぬ税金がかかってしまうのだ。さらに、固定資産税は、所有権を持つ子に請求されるが、

「民法上は配偶者が負担すべきものですから、妻子のあいだで取り決めをして、支払いをどちらがするかを決めるべきでしょう」(前出・内藤氏)

配偶者居住権の施行は'20年4月1日。まだ時間がある。妻だけでなく、子と事前に話し合ったうえでの設定が重要だ。