# 電機

従業員の不信を引きずったパナソニックに復活はあるのか?

幸之助の会社はリストラで疲弊した
大原 浩 プロフィール

失ったものの多さ、大きさ

中村氏の時代に多くのものを失った。例えば、2019年特許ランキング(日本)は、

1位:キヤノン 、2位:トヨタ自動車、3位:パナソニック(IPマネジメント )

である。

かつては「マネシタ」と揶揄された2番手商法を駆使したので、意外に思う読者も多いかもしれないが、松下(パナソニック)は技術水準の非常に高い企業で、「ノーベル賞受賞候補者」もいたとされるが、そのような優秀な技術者は激烈なリストラの中で去ってしまったと思われる。明日のわが身が心配では研究に没頭できないからである。特許件数では何とか3位につけているが、質はかなり落ちていると考えられる。

さらに、中村氏の時代に行われたいわゆる「ナショナルショップ切り捨て」も禍根を残した。

ナショナルショップとはいってみればコンビニの加盟店のようなものである。オーナー経営者たちと2人3脚で頑張ることで発展してきたのに、量販店の方がたくさん売ってくれるからなど馬鹿げたことを言って、販売ルートを大幅に変えてしまった。

本部の勝手な都合で翻弄されたナショナルショップのオーナーたちの心中は、察するに余りある。

量販店は、大量に商品をさばいてくれるが、困った時に指1本さえ動かしてくれるわけでは無い。

セブン-イレブンの問題については、当サイト7月13日の記事「コンビニ最強から一転、セブン-イレブンの『劣化』が止まらないワケ」を参照いただきたい。

 

どんな優秀な経営者にも立て直せない会社はある

2012年に津賀一宏氏が社長に就任して、パナソニックは危機から脱出した。危機から脱出する戦略は正しかったと考えているし、その手腕も見事だ。

しかし、パナソニックの本質的問題は「経営のかじ取り」を間違えた部分では無く、「義理と人情」をないがしろにした点にある。

中村氏の時代に失った信頼は、並みたいていのことでは取り返せないし、津賀氏の経営戦略も、おおむね妥当ではあるが「創業の理念」に戻ろうという気配はない。

投資の神様ウォーレン・バフェットは、「どのような優秀な経営者にも立て直せない事業は存在する」と述べているが、パナソニックがその典型例にならないよう祈る。

★主要参考文献:立石泰則『パナソニック・ショック』文芸春秋

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