絶好調のテレビ朝日「視聴率三冠」奪取に向けた難題と危機感

テレビがもはや高齢者のものとなる中で
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高齢層に支えられるテレ朝

そこでテレビ番組の視聴率を調査するビデオリサーチ社は、テレビ所有世帯のうち、その番組を「その家庭内で何人が見たのか」を示す「個人視聴率」調査を導入。これによって各番組の視聴者の性別や年齢層まで正確に算出されるようになった。

テレ朝とは別の民放キー局幹部が解説する。

「数年前から『世帯視聴率ではなくもっと正確な数字を出してほしい』というスポンサー企業からの要望が強くなった。

テレビ局のなかには反対する声もあったが、昨年4月より、個人のリアルタイム視聴率に、CM枠を含めた放送後7日以内の録画視聴率を加えた新たな数値が使われるようになった。

スポンサーが民放キー局5局にスポット広告を出稿する際の指標にするのは主にこちらの数値です。10月からは、関西地区と中京地区でも利用が始まります。個人視聴率の計測は来年4月以降、全国に拡大するため、新指標の利用も拡大する見通しです」

テレビ局がつまるところ、スポンサーからの広告料で成り立っているのは、いまも昔も変わらない。スポンサーが重視する「個人視聴率」で見た場合、絶好調のテレ朝はどう評価されるのか。

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本誌が入手したテレ朝の内部資料('19年4月1日から7月9日までの世帯および世代別視聴率表)をもとに、まずは世帯視聴率を見てみよう。

6時から24時(全日視聴率)ではテレ朝が7.5%、日テレが7.5%とタイ。19時から22時(ゴールデン)ではテレ朝10.5%、日テレ11.1%と日テレが僅差で勝利。

19時から23時(プライム)、23時から翌1時(プライム2)ではテレ朝がそれぞれ10.6%、5.3%、日テレが10.8%、6.1%。全日を除いて日テレが勝ってはいるが、差はわずか。

このところ数字を伸ばしているテレ朝が「日テレを抜いて年間視聴率三冠!」と意気込むのもわかるだろう。

 

しかし、「世代別の視聴率」でみると、まったく事情が違ってくる。たとえば20歳~34歳の女性の視聴率。テレ朝は4つの時間帯(全日、ゴールデン、プライム、プライム2)で〈1.1%、2.3%、2.3%、2.1%〉。

一方の日テレは〈4.3%、7.4%、7.4%、4.0%〉と、テレ朝は大きく水をあけられているのだ。

35歳~49歳の女性も同様で、テレ朝が全日2.9%、ゴールデン4.9%、プライム5.1%、プライム2で3.7%であるのに対して、日テレがそれぞれ5.9%、9.0%、8.9%、5.0%、とここでもはっきりと差がつく。この傾向は同じ年齢層の男性でもまったく変わらない。

これが50歳以上の男女になると、形勢は完全に逆転する。まずは男性50歳以上。テレ朝がそれぞれ〈5.9%、8.0%、8.1%、3.0%〉に対して、日テレが〈3.9%、6.2%、5.8%、2.7%〉。テレ朝の完勝だ。

女性50歳以上でも、テレ朝は〈7.2%、10.6%、10.4%、3.4%〉。日テレは〈5.6%、8.1%、7.8%、3.9%〉と、23時から翌1時台を除いてテレ朝が大きく勝利。つまり、テレ朝の好調を支えるメインの視聴者層は、男女とも50歳以上なのだ。