YouTube公開作は「大好きな地元」が舞台

ショートフィルム『乗り遅れた旅人』では、国際都市・横浜が舞台となっている。山下公園や山手十番館など、鮮やかに映し出される横浜の風景も印象的だ。

「青春時代のほとんどを過ごした、大好きな地元の横浜を舞台にした作品に携わることができ、光栄です。横浜で生まれ、親の転勤で小学校3年生の時に一度、大阪に引っ越したのですが、大阪に行ってからも横浜のことは大好きで、夏休みに横浜に住む母方の祖母の家に行くのが楽しみでした。みなとみらいの風景が好きで、よく連れていってもらっていましたね」

『乗り遅れた旅人』で、板野さんは横浜在住のアーティストを演じている。アートを志しながら、自分でも畑で野菜を作っているというキャラクターだ。

「私とは全然違うタイプの女性です。ヴィンテージっぽい服を着ていたり、おしゃれなメガネをかけていたり、ルックスからしていつもの自分とかけ離れていて、ぱっと見、私だとは気づかない方もいらっしゃると思います。だからこそ、役作りは楽しかったですね」

大勢で食卓を囲むのが大好きです

『乗り遅れた旅人』のあらすじを簡単に紹介しておこう。ある外国人観光客が、横浜で、クルーズ船に乗り遅れてしまう。主人公となる少女は、困っている外国人観光客に遭遇。周囲の人とのつながりを通して必死で彼を助けようとするのだが、その過程において、地域の助け合いや地産地消、SDGsなどのキーワードが見え隠れする。特に、少女や外国人観光客と、カフェの経営者、常連らが、共にカレーを作り、食しているシーンは、同作のテーマを象徴するひとつといっていい。

「みんなで食卓を囲み、作りながら食べるのっていいですよね。子どもの頃、よく家族で、ホットプレートを囲み、餃子を焼いたり、お好み焼きを作ったりしていました。最後はやきそばでシメるのですが、縁日みたいで楽しかったです。今も、友達と、餃子パーティーや鍋をすることもあります。

最近、はまっているのは、豚肉と長ネギ、葛きりとレタスでいただく、シンプルなお鍋。お鍋に白出汁を入れ、ポン酢などを使わず、そのままお出汁でいただきます。簡単で美味しいのですが、ネギの白い部分を、とても細く切るのがポイント。ネギの根の部分はお出汁として使っています」

撮影/矢野雅之

もったいないし、美味しいから、野菜は根元も使う──。板野さんが何気なくしている行動こそ、実はSDGs、―2015年9月の国連サミットで採択された「2030年までに持続可能な開発のための国際目標」―の根底となっている部分だ。

聞きなれない難しい言葉だと、自分とはかけ離れた世界の出来事だと考えてしまいがちだが、サスティナブルな生き方、きちんと持続可能なものするための開発や生き方は、企業だけがやる大掛かりなものなのではない。多様性を意味する「ダイバーシティー」での助け合いの心しかり、地産地消や食べつくすような「愛おしく大切に食べる」ことしかり……今私たちを取り巻くさまざまなキーワードは、私たちのとても身近に存在し、簡単に日常に取り入れることができるのだ。

「AKBを卒業してからようやく、プライベートで海外旅行に行けたんです。仕事とは違って行きたいところに行ける。海外旅行の良さを感じました。ロスが大好きなんですが、まだまだ完璧とは程遠い英語で、文法も間違っていると思います。でもだんだん伝えることができるようになってきました。『恥ずかしい』とか、『間違っているかな』とか考えるより、とにかくコミュニケーションしたい、伝えたいという気持ちを伸ばしています。通訳アプリを見るのではなく、とりあえず話そうとすると、向こうの方が英語を教えてくれたりする。それも楽しいですよね」

自分で料理をして、家族や仲間たちと楽しく食べる。自分の言葉で話し、人との交流を大切にする。板野友美が意識せずに送っている、「地に足のついた暮らし」の裏には、素敵な家族の存在があった。

『乗り遅れた旅人』より
乗り遅れた旅人
監督 古波津 陽
出演 坂井悠莉 / シブリ / 板野友美 / 玉置玲央 / 根岸季衣
作品時間  17分50秒
公開先 https://youtu.be/1cgAamsJs04
アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)を運営するショートショート実行委員会とSDGs未来都市・横浜が製作したショートフィルム。Youtubeにて配信中。