撮影:花房徹治(講談社写真部)
# 井上真吾 # 井上尚弥 # ボクシング

井上尚弥・拓真の父が実践する親子ならではのトレーニングとは?

井上真吾氏特別インタビュー その③
ボクシング井上尚弥選手を育て上げた父親でありトレーナー、井上真吾氏の特別インタビュー第3弾。5月18日に行われたエマヌエル・ロドリゲス戦を振り返ったその①はこちら。ノニト・ドネアとの試合に向けてこれからの井上選手を語ったその②はこちら

意識しあって成長する井上兄弟

――では話は変わって、弟の拓真さんはどうでしょう。

真:まだまだです。そんなのー、自分も拓もわかってる。やはり2歳の差はでかい。でもだからこそ、これからの2年で今の尚にどんだけ近づけるか、あるいは追い越せるかっていうのはやらなきゃいけない。

 

――やっぱり今はどうしても、周りが尚弥さん、尚弥さんとなるじゃないですか。でもお父さんにとってはどちらも子どもさんなわけで、さらには同じくボクシングをしているわけで、お二人への配慮の振り分けといいますか、そのあたりはどのように・・・

真:(間髪を入れず)複雑ですよ。尚は尚なりに、拓は拓なりにやってくれればいいとは思う一方、やっぱり一緒にトレーニングしても、2歳の差はなかなか埋まんないですから。だから尚には「拓がバンバン来てるぞ、引き離すつもりがなければ抜かれんぞ」って煽るし、拓には「おまえ何やってんだ、このままだとまた離されんぞ、追いつけ追い越せだろ?」と発破かけるし。

でも埋まらないんですよ、一緒にやってると。だからもう、そこはしょうがないのかなと。同じ親の子どもで同じ練習をやっていれば、やはり当初の2歳の差はなかなか。

――そこで気遣いというか、ご苦労はないですか?

真:それはないですね! そこはもう、やるしかないじゃないですか、綺麗事抜きで。見ている人に「わー、すごくなったね。お兄ちゃんにも負けないね」と言ってもらえるようにならないと。

――ということは、拓さんへの忖度は全くなし?

真:まったくないです。だって,現に尚はやってるんだから。だから「お前、尚以上にやれよ!」と発破かけるだけです。

――世界チャンピオンになることだけでも偉大なのに、お兄さんがああいうレベルにいるというのは、ある意味、不幸かもしれません。

真:でも、性格もあるんですよ。尚は、自分に性格が似てるんです。向上心があるし、ただ単に言われた通りにやるんじゃなくて自分でも工夫する。拓は、どちらかというとマイペース。ちょっと欲がないところがあって、それで、「ここでもう1歩詰めれば倒せるのに・・・」というところで行かない、そういうもどかしさはあります。

同じことを言われても、尚は、「つぎの時、父さんにこう言われるから、ここはこうしてああして」と考えて対応する。ほんと、同じように教えたからといって同じようになるわけでもなくて・・・いろいろありますよ(苦笑)。

感情的になったってしょうがない

――性格に合わせて、お二人への言い方を変えたりはなさるのですか? 例えば、尚弥さんには少し厳しめに言って、拓真さんにはちょっとソフトにするとか。

真:言い方を変えるのは、むしろ状況によってです、性格とかは関係なく。相手の気持ちが今どういうなっているのか、それによって、甘く言った方がいいのか、厳しく言った方がいいのか。その時にふさわしい言葉を見つけて言いますが、基本は、その時に感じたことをそのまま「ばばばばん」、です。