「男性の家庭進出」の
権利が阻害されている

こういった問題を議論する際、国力の危機として少子化を語る場合を除いては、出産育児などどうしても女性の抱える問題とされがちだ。実際、リプロダクティブヘルスに関して議員にロビイングに行くと大抵、女性議員への働きかけを促されるし、院内集会などを開いても、このテーマに関心を示すのは圧倒的に女性が多い。しかし、これは明らかに、女性だけでは解決できない問題だ。

今年6月、わたしはカナダのバンクーバーで開かれたウーマンデリバーというジェンダーやリプロダクティブヘルスライツに関する国際会議に参加してきた。そこで超満員だったセッションのひとつに「State of the World's Fathers 2019: Accelerating Global Progress on Men's Caregiving」がある。

これは、「女性の社会進出」という言葉と対照的に、いわば「男性の家庭進出」というような話で、いかに男性を育児や家事の参画に促すか、家庭内での労働を平等に近づけるか、実際に育児家事と仕事を両立した男性の話や先進的取り組みを行う企業の実践例も交えながら、男性を中心に真剣に議論が交わされた。

そしてここでは、父親が育児や家事に参加できることも一種の権利であり、現状はそれが阻害されているという視点で話が進んでいた。男性の変革も叶えられてこそ、誰もが仕事も家庭も満足に過ごすことができる。この議論を見たとき、私は改めて、日本で避妊や出産に関する問題意識は女性議員へとなる風潮の深刻さを実感した。

本セッションでは、ノーベル平和賞受賞のマララユスフザイさんの父ジアウディン氏(写真)やUNWOMEN事務局長のプムズィレ氏、ユニリーバのCEOアラン氏など錚々たるメンバーが登壇し、注目度の高さが伺える 写真提供/福田和子

今回、参議院での当選した女性の数は28人で、過去最多の前回と並んだ。ジェンダーにまつわる様々な発言も注目された選挙を勝ち抜いた方々だ。今後彼女たちを含んだすべての議員たちが国会で活躍される中で、「子供が少なくて国の存続が危うい、女性に子供を産ませないと」という旧態依然とした家族計画の考え方から、「日本人のリプロダクティブヘルスライツを守らなければ」という考え方への方向転換が成されてほしいと思うばかりだ。

それでこそ女性が本当の意味で自立し、様々な面で最大限能力を発揮できる世の中が訪れるのではないだろうか。

内閣府少子化社会対策白書の中で具体的な数値が書かれている資料はこちら
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2017/29pdfhonpen/pdf/s1-5.pdf

世界の避妊率と出生率に関する国連作成資料はこちらhttps://www.un.org/en/development/desa/population/publications/pdf/family/trendsContraceptiveUse2015Report.pdf

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