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ネタバレ厳禁社会の息苦しさを、ドラマ『あなたの番です』から考える

そんなに敏感にならなくても…

日曜のドラマ『あなたの番です』が注目である。

ひさしぶりに、犯人は誰なのか、その謎解きミステリーで盛り上がっているドラマだ。連続ドラマでこれをやると結末で納得しない人を続出させてしまいがちなので、その手腕が注目されるところである。

前半のミステリー部分は主人公夫婦の妻・菜奈(原田知世)を中心にまわっていたので、彼女に寄り添ってドラマを見ていたのだが、とつぜん、その視点がぶった切られて、驚いた。当然、ネット上でも大騒ぎになった。私もドラマを見ながら「ええっー!」と声を出してしまったのは久しぶりである。「えっ」というのはときどきあるんだけれど、「ええっー!」というのはなかなかない。

さて、どこまで書いていいのか迷ってしまうが、そこに触れずに後半部を語るのはむずかしいから、ネタバレして話を進める(以下ネタバレ)。

 

ネタバレで申し訳ない

つまり主人公だとおもっていた菜奈(原田知世)が死んだので、大変驚いたのだ。

主人公とおもわれる人物が死ぬというのは、ほぼミステリーでの禁じ手に近い。たしかによく見れば主人公は夫の翔太(田中圭)だったのだけれど、彼はかなり暑苦しいキャラクターに設定されていて、ふつうに見てると妻の菜奈に寄り添うように誘導され、しかも連続事件の発端を作ったのは彼女であって、夫はそれに関知してなかったということもあり、そこはうまくしてやられたわけです。おれはね。たぶん見ていた半分くらいの人はそうだったとおもう。もう少し多いかもしれない(ちなみに二人の関係は内縁関係)。

ネタバレでもうしわけない。

ネタバレでもうしわけないとおもうのは、私は第10話を見て、声を上げて驚いたが、ネタバレしてしまうと、まだ見てない人は10話を見ても驚かなくて、ああ、あのシーンかとおもってしまって、その驚きを奪ってもうしわけない、ということである。

いまは「物語で人が心動かされるチャンス」を奪ってはいけない世の中になっているのだ。でもまあ、ドラマは録画して見られるとしても、やはり放映されたときに消費するものというのが本来の形なので、放映後は、断れば「ネタバレ」もしかたない、という部分はあるとおもう。

ドラマ全体では、まだまだ謎が多い。連続した殺人事件が起こっているのだが、はたして犯人は誰なのか、そもそも犯人はひとりなのか、もっといえば殺人事件ではなくてただの事故死も混じってるのではないか、というような広く大きく謎が散らばっていて、そうそうすぐには収束しそうにない。

おそらくいくつかを納得させるように徐々に回収していって、それでも最後にどーんとびっくりを用意している、というのが予想される展開であるが、まあ、私はミステリーの推測が得意ではない。というか、そういうことをやらないでずっとやってきたので、物語の途中にいるときに、先を見通す視点が持てず、ただぼんやり引きずられるように見ているだけだ。