〔PHOTO〕立木義浩
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マルディ・グラ和知徹シェフ特製、タリスカーに合わせる一皿

タリスカー・ゴールデンアワー26回(前編)

提供:MHD

わたしは生まれつき病的なまでの猫舌で、60度以上のものは食べられない。だからラーメンは若いときから苦手であった。約半世紀前、先輩に飲みに連れて行かれて、最後にラーメン屋に入ったのだが、わたしは小さい声で「すみません。グラスに氷を入れていただけませんが」と店員に頼んだ。

熱々のラーメンが運ばれるとわたしは器のなかに氷を2,3個入れて、冷めたところから食べはじめる作戦に出た。すると、それを見た先輩から「シマジ、お前のラーメンの食い方は気持ち悪い。2度と連れてこないぞ」と言われる始末であった。ラーメン屋の店員も怪訝な顔して眺めていた。以来、ここ半世紀ほど、一度もラーメン屋に行ったことがなかった。

ところが昨年11月、マルディ・グラの和知徹シェフが、野鴨が狩猟解禁になってまもなく、野鴨のガラで出汁を取り、野鴨の肉をチャーシュー代わりにした「野鴨ラーメン」を作ってくれたのである。しかも熱いスープを団扇で仰いで60度くらいに温度を下げて出してくれた。50年ぶりのラーメン、しかも生まれてはじめての「野鴨ラーメン」であった。

そこに添えられたのは、わたしがタリスカースパイシーハイボール用に置かせてもらっているピートで燻製された特製の黒胡椒であった。野鴨ラーメンとこの黒胡椒の相性は抜群で、あまりの美味さにわたしは一瞬言葉を失った。

「何でも言うことを聞きますから、毎年一度、この野鴨ラーメンを作っていただけませんか」と頭を垂れると、和知シェフは笑いながら大きくうなずいてくれた。人生の悦楽の1つは、一流シェフと食の共犯者になることだとわたしは確信している。

(構成:島地勝彦、撮影:立木義浩)

* * *

ボブ: さっきはビックリしました。コックコートを着ていないから和知シェフだと気がつかず、てっきり一般のお客さんがまちがえてお店に入ろうとしていると勘違いして、「今日はいまから特別な会があって、一般の方は入店出来ませんよ」と言おうとしたら、和知シェフの方から「ロバートさんですよね」と声をかけられて、本当に驚きました。

和知: ぼくは毎回タリスカーゴールデンアワーを読んでいるからロバートさんのお顔は知っていたんですよ。とくに『六三四の剣』の村上もとか先生が登場した回のロバートさんの興奮と感動、明らかにいつもと違う様子が、とても面白かったです。

ボブ: あの日は憧れの村上先生が予告なしに突然目の前に現れたので驚愕して、大興奮してしまいました。

シマジ: あれは日頃お世話になっているボブに対するビッグプレゼントだったんだよ。

ボブ: 粋な一生忘れられないサプライズでした。シマジさんには大感謝です。

シマジ: それではもう一度みんなで乾杯しましょう。スランジ!

一同: スランジバー!

ヒノ: 和知シェフにお訊きします。シマジさんがこのレストランに現れたのは何年前のことですか。おそらくそんなに昔ではないと思いますが。

和知: そうですね。たしか2016年の2月だったかと思います。

ヒノ: どうしてそんな正確に覚えていらっしゃるんですか。

和知: シマジさんを連れていらしたのは、うちの長年の常連さまなんですよ。森田さんというんですが、“島地勝彦公認平成の仏陀”としてシマジさんのエッセイにもよく出てくる方です。それとやっぱり、インパクトが強烈で……。

そのときも、この狭いカウンターに座られたんですが、たしか森田さんの推奨で、シマジさんはうちの人気メニューのラグマンを召し上がりました。

「これは美味い!」「どこの食べ物なんですか?」と訊かれ、「これは仔羊のラグマンで中央アジア発祥の麺料理です」と答えると、「和知さんはいろんなところに旅をして、その地方の独特な料理をこうして再現しているんですね。しかもこの太いうどんのような麺を、手でこねて1本1本自家製で作っているなんて感動的です」とシマジさんに褒められました。

ぼくも調子に乗って「これがラーメンのルーツだと言われています」と答えたんですが、そんなわけで、シマジさんは初回から凄く印象に残るお客さまでした。

ヒノ: シマジさんは気に入ったお店には必ず、マーキングのごとくタリスカー10年を置いて行く習性があるんですが、それはいつ頃でしたか?

和知: 2週間ぐらいしてまたお二人でいらして、そのときにタリスカーハイボールのセットを持ってこられたと記憶しています。そしてありがたいことにいつもぼくにも一杯作ってくれるんですよ。

ボブ: シマジさんは“タリスカーの宣伝部長”ですからね。

シマジ: 和知さんはフレンチの料理人なのに、ウイスキー好きでよかったですよ。以前出ていただいた帝国ホテル総料理長(現・特別料理顧問)の田中健一郎さんもウイスキー好きだし、ボブ、フレンチのシェフにもっと売り込んだらいいんじゃないか?

和知: うちではシマジさんがお見えになる前からタリスカーを置いていましたよ。

ボブ: 和知さん、ありがとうございます。今後ともご贔屓に。

和知: もちろん、そのころはスパイシーハイボールは存じ上げなかったですが、いまでは家でも食前食中にタリスカースパイシーハイボールです。もうすっかりシマジさんに洗脳されてしまいました。

ヒノ: でもここはいちおうフレンチのレストランですから、ワインを飲むお客さまのほうが多いんじゃないですか?

和知: もちろんワインも飲まれますが、うちではタリスカーのこのスパイシーハイボールがかなり出ています。銀座にはバーが多いですから、ウイスキーの需要が高いというか、お好きな方が多いんじゃないでしょうか。それにスパイシーハイボールはどんな料理も邪魔しませんしね。

ボブ: ありがとうございます。今日は特別にタリスカーのロゴ入りグラスをお持ちしました。ささやかな感謝のしるしです。

和知: それは嬉しいです。シマジさんと森田さんとそしてぼくの分はタリスカーのロゴ入れのグラスがあるんですが、この新しくいただいたグラスはほかのお客さま用に使わせていただきます。

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