料理家で〈eatrip〉主宰の野村友里さんが、沖縄を旅しました。人に会い、作品に会い、おいしいものと〝おいしい人〞に出会う旅。沖縄は島だけれど、生きています。島全体がグルーヴしているみたい。旅することで、元気がもらえる。さあ、島のみんなが待ってるよ。

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沖縄の自然が育てる
おいしい料理

大きな木のドアはまるで中世のような造り。重りがドアの開閉をコントロールしてくれる。

夜は、藤本さんの工房と隣接する〈胃袋〉へ。野村さんが食事に伺うのは2度目とか。店主の関根麻子さんとは旧知の間柄である。

自らも、東京・明治神宮前に〈restaurant eatrip〉を営む野村さん。原宿という雑踏の街に、まるで忘れられたみたいな庭付きの古い家を改装したレストランだ。東京にいながらにして、自然とともに過ごせる時間は豊かで温かく、何物にも代えがたい。環境だけではない。皿の上も自然そのものだ。口に運ぶごとに、目の前にその食材が育った大地が広がるような料理、そしてその食材を作った人の思いが伝わるような料理を心がける。できる限り、作り手と話をし、自分の目で舌で確かめ、思いが通じ合う人のものを使いたい。生命をいただくということは、生命を育む人の思いをいただくことでもあるからだ。

〈料理 胃袋〉は、1日3組のみ。関根麻子さんがたったひとりで料理を作り、サービスも行う。キッチンの窓からの景色が素晴らしい。この環境、料理人なら憧れるに違いない。

関根さんも同じ思いの料理人だ。2014年に開いた〈胃袋〉で使われるのは、ほとんどが沖縄食材。五感を最大限に駆使し、一つ一つ大事に選び抜き、愛おしんで料理する。夕方訪れると、大きく開いたキッチンの窓いっぱいに、亜熱帯の緑がいっぱい。「うらやましい」と、野村さん。「ジュラシックな感じでしょ」と、関根さん。もうすぐ日没を迎える。「日が落ちきる直前、ほんの1〜2分なんだけど、群青色になる日があるんです。それはもう、この世のものとは思えない色になるの。今日はどうかな?」。あれっ、おしゃべりに夢中になっている間に、太陽が沈んじゃった。「ほんとうに一瞬なんですよ。次回いらっしゃるときは、絶対に見てほしい」